選抜試験があるんですが実はその試験を受けるためには署長推薦が必要なんですよ。 しかし署長推薦をもらうのは並大抵じゃない。 しかも首尾よく推薦をもらえて選抜試験に臨んでも合格するのは3人に1人程度です。 俺が言ったんだじゃない!総領事夫人だ。 お前は総領事夫人の招待を断るってか。 で晩餐どうだったの?ん?美味しかった?意外とまずくて余計機嫌損ねちゃった感じ?お前にはもう何も話さねえ。 根津さん!今のは銃声ですよね?下の階からですよね?展示室の方からじゃないか?ああー!奥様…奥様が…!ああどうも。
無意識に口をついて出た感じでしたがあなたのおっしゃった隠蔽というのは真相を覆い隠すという意味の隠蔽でしょうかねぇ?あっいえあれこれ考えてみたのですが他に適当な漢字が考えつかないものですからねぇ。 確かに真相を隠すという意味ですが隠蔽という単語には単なる隠すというのとは違う独特な響きがありますからねぇ。 地方にいる頃とは違って今度は警視庁をはじめ全国の警察本部を指揮監督する立場だ。 わかるだろ?ここはひとつ最初で最後の親孝行だと思ってとっとと警察辞めてくれないか?馬鹿…。
お前はこれからも外務省でやっていきたいのか?そりゃもちろんです。 だが同時にお前も外務省にいられなくなるぞ。 外務省が上司に不利な秘密の暴露をするような男を重用するとでも思ってるのか?そうすれば英雄になれるとでも?騒げばお前は一生ドサ回りの運命だぞ。 病死なんかじゃありませんよ!しかし外務省からはそういう返答が来ている。 正直に拳銃の暴発で死人が出たなんて言うと大問題になるから病死なんて嘘の報告を上げてるんです。 本当は拳銃の暴発なんです。 香港の総領事館から外務省に上がった報告はアレンジされたものです。
総領事公邸の中での出来事ならば我々日本の警察の管轄ですよ。 とにかく俺は総領事公邸での晩餐会に招かれたんです。 晩餐会といってもごく内輪の食事会で出席したのは総領事で在香港日本国総領事館の館長屋敷の主である小日向貞穂とその夫人の詠美。 奥様が…!絵里花!慌てて駆けつけると総領事のコレクションルームで三井夫人が倒れていて総領事夫人が真っ青な顔をして拳銃を握っていたんです。 もう手遅れですよ!救急車を呼んでも柴山先生を呼んでも絵里花は戻らない!ああ…!たとえ戻らなくても柴山を呼ばねばならん。
カイト在外公館ってのはお前が想像するよりずっと特殊な場所なんだ。 それはともかく総領事の意向を汲み取る形で事実が隠蔽された事はよくわかりましたが他の関係者はまだしもこの件で奥様を亡くされた三井副領事までが本当に納得しているのでしょうかねぇ?君ならずともあなたは本当にこれでいいのか?知り合いかよ?杉下右京だろ?そうですけど。 お前杉下右京とどういう関係だ?いやどうって…。 総領事以下今回の関係者は全員が君を除いて病死だとおっしゃってるわけですからね。 甲斐峯秋本庁の偉いさんですよ。 杉下右京…。
在香港日本国総領事館勤務の副領事三井直政の自宅ですが実はそこで殺人事件がありまして。 殺人?ええ殺害されたのは三井直政の上司の江崎秀明です。 当初三井直政の行方がわからずにその足取りを追ってましたがつい先ほど判明しました。 「どうやら三井は現在香港にいるらしくて…」思い知れ!総領事のポチ…。 今朝三井直政の部屋を訪ねたところ江崎秀明領事の遺体を発見したそうです。 そちらの総領事館に勤務致します三井直政がもし姿を現しましたらぜひご一報を頂きたく…。
俺を監視するためにわざわざ寄越した総領事が悪い!でもそれをしたら妻の弔いが出来なくなる。 ご所望の見取り図ですが何やら外務省で機密扱いになってるらしくて外に持ち出すには色々とややこしい手続きが必要でして早い話が入手出来ません…。 甲斐さん!三井さんにやられたんですか?突然拳銃を突きつけられて…。 三井は総領事たちを拘束しているようですがどの部屋かわかりませんか?さあ…部屋はごまんとありますから。 総領事夫人です。
馬鹿野郎!そこで根津さんが所持していた拳銃で三井を撃った。 ではそもそもなぜ三井直政は何か三井に恨まれるような事をしたのでしょうか?特別何かってわけじゃないわ。 みんなで結託して拳銃暴発事故を隠蔽したから三井さんはこんな真似をしたんだと思います。 拳銃暴発事故?この期に及んでまだしらばっくれる気ですか!?暴発事故などなかったとおっしゃる?あるわけないでしょそんな事。 君の主張する暴発事故を起こした拳銃というのはつまりこれですね?…だと思います。
実は拳銃暴発事故に見せかけた殺人だったのではないかと。 つまり僕の言う殺人とは総領事夫人の引き起こした拳銃暴発事故の裏に実は事故に見せかけた殺人計画が潜んでいたのではないかと。 あなたはご主人である小日向総領事が1発目の弾が弾倉から薬室に送り込まれこれで発射準備完了です。 しかしここまでは他の自動拳銃と同じですがこのように撃鉄のある拳銃ならばこうして発射準備完了後撃鉄を強く押さえ引き金を引いてつまりこの状態ではいつでも弾が発射されるわけです。
総領事夫人間違いありませんか?あなたイライラするわ。 そのあとに小日向総領事が撃たれた事は間違いないはずです。 俺たちがこう言ったらどうする?暴発事故は総領事が起こしたんだと。 後輩に土下座までして頼むのはよくよくの事ですがあなたは何がなんでも総領事夫人をかばいたいのですね。 暴発事故の隠蔽は総領事の立場をおもんばかってかあるいは根津さんではないかと申し上げましたが撤回しましょう。 小日向総領事を撃ち殺したのは…。 暴発事故同様総領事夫人をかばうために。
僕はこれまでのやり取りを踏まえてそれが総領事夫人だと結論づけたんです。 総領事夫人を拘束して搾り上げます。 本気で総領事夫人をかばいたいのならば今すぐ僕の間違いを正しなさい!ええ根津よ。 ひとつ教えてくださらない?なんでしょう?わたくし本当に主人が死んでくれたらいいのにって根津にささやいたの。 次長とはどういうお知り合いなんですか?わたくしがオーストリア大使館にいた頃出向なさってきてらしたの。 主人がまだ二等書記官の頃だからもう20年以上前になるかしら。
昨日銀座であった宝石強盗事件の防犯カメラの映像です。 銀座の宝石強盗…。 ええ総額1億円相当の宝石類が奪われました。 えー!?店から客がいなくなり店員と警備員が奥に入った時でした。 何者かが遠隔操作装置付きの発煙装置を仕掛けた模様です。 店員と警備員の証言では煙で何も見えなくなり全員店の奥から動けない状態になったようです。
昨日うちらが学校帰りに神社の階段のところ通ってたの。 えっ大丈夫ですか!?大丈夫ですか?救急車呼びます?大丈夫大丈夫…。 大丈夫だから。 大丈夫…。 ダメじゃん!アミ電話して!救急車。 あっ救急車…はい。 だったらなんで逃げたりすんだよ!普通さあうちらみたいに救急車呼んだりすんでしょう。 救急車の中でもそうおっしゃってましたよね。 仕事のほうは?個人でシステムエンジニアをしているものですから。 仕事柄普段家から出ないものですから。
普段は仕事柄外に出ないと言っていたにもかかわらずなぜ日焼けのあとがあるのでしょうねぇ。 なんなの?警察呼ぶわよ。 はあ?警視庁特命係の杉下と申します。 そうだよ警察の人たちも一緒なんだからお前ちょっと中入ってよもうとにかく…なあお前は。 それじゃあ僕が滝浪正輝本人だって事を証明してみせますよ…うん。 自分が自分である事を証明するというのは案外難しい事なのかもしれませんねぇ。
俺は彼が滝浪正輝という人物になりすまそうとしているんじゃないかと考えていてその逆っていう意味で言ったんです。 仮に彼が滝浪正輝になりすまそうとしていたとしたらその目的はなんでしょう?しかし…俺たちこんな事やってていいんですかね?いいんじゃありませんか?ちょっとおもしろくなってきましたしね。 刑事さん!今検査室から連絡があって先ほど搬送された患者さんが滝浪正輝というのはどういう人物なのか。 「我々今…」滝浪正輝という人物について調べているのですが…。 あの…杉下警部聞いてます?今大変立て込んでですね…。
滝浪正輝の名前が浮上したのは?これがゴミ箱にあった。 滝浪正輝という事になります。 ですがもう1人滝浪正輝と思われる人物がいるじゃありませんか。 えっでもそれとあいつが…滝浪正輝になりすまそうとした事とどう繋がるんですか?米沢さん。 自分たちは滝浪正輝になりすまそうとしている人物に接触したんです。 滝浪正輝のパスポートを持っていたこの男です。 いやいや…しかしそんな事どうやったら出来るんです?滝浪正輝と宝石店警備員の増田の計画はこうです。
でもどうやって?パスポートの滝浪が警備員の増田を装って宝石の送り先を大阪のホテルの一室に変更した。 ところが大阪のホテルに増田は現れず宝石も届かず当然滝浪正輝は増田が宝石を独り占めしたと勘違いし東京に戻り殺害した。 なんです?パスポートの滝浪はどうして滝浪正輝の部屋を盗聴していたのでしょう?だからそれは宝石強盗の情報を得るために…。 ね?このパスポートの滝浪はもう宝石を手に入れちゃったんですかね?彼とあのマンションに行った時に彼はポストから配達員の入れた不在票を手に入れていました。
あなたそんな事を繰り返している犯罪者に自分の身分を売ってしまったんじゃありませんか?あなたの事ですからねぇ。 しかしあなたはある事をきっかけに自分の身分を取り戻そうと考えた。 すごいじゃないですか!俺はもう自分がそんな気持ちになる事なんてないと思ってたんだけどこの人のために頑張ろうなんて思ったんだ。 彼女は俺が立野尚人という人間だと思っていた。 だからそれを警察に密告すれば…まあ…自分自身も少なからず責めを負う事になるだろうけど。 それで自分の名前を金に換えるような真似を…。