今日はちゃんと食事をされたのか風邪などひいておるまいか上様は毎日お母上のことを案じられておりましてな…。 身近で母上孝行もできますしね。 紀州から江戸に連れてきてくださっただけでも嬉しいのに上様のお側に住まうなどおそれ多いことで…。 身分などと…上様がそのようなお人でないことはお由利の方様が一番よくご存じのはず…!もちろんでございます。 なんと!小梅村はお由利の方様の庵があるのじゃ。 由利先生が帰ってくる前にね。
じゃこういうこと?仕事に行く振りをして一日が終わったら勘定奉行・藤田伊予守…かような刻限に呼びつけたは他でもない。 余が気になっておるのはなぜ両替商ばかりが狙われておるかだ。 両替商を守る法を具申した勘定奉行として此度の仕儀をどう思う?はい公儀の大きな事業や各藩の財政は翌年に収穫される米を担保にして借り入れているのが実情です。 かような大金を融通してくれる両替商が無くなりますと領民に塗炭の苦しみを強いるも同然となりましょう。 だが両替商を悪者扱いし盗みを働く不知火一味の出現を見た。 一日一杯三日で三杯…。
いいかよけいなことを喋るとあの五千両はお前の仕業だとお上に届けるぜ!事実金を盗んだんだからな。 公儀の金を受け取る両替商は皆勘定奉行・藤田伊予守様に賂を渡しているようです。 勘定奉行の藤田様が公儀のお金を渡した両替商を襲えと命じたのでございますよ。 裏で盗賊を操っていたのは勘定奉行・藤田伊予守です。 はい熱燗一本!盛一枚!はい!どうだいあんばいは?本当にカカアと子供たちは無事なんだろうな?言うとおりにすりゃよけいな殺生はしないよ。 俺は徳田新之助貧乏旗本の三男坊でな。
ありがたい菩薩の心を授けてくれる大事な人なんだ!それを放って無役でブラブラなどうそぶいてる奴は我慢ならねえ!何だいきなり説教か?言いたくもなるじゃねえか!俺みたいに孝行したいときにいなくなったらどうするんだよ。 例の「百蔵」なる盗賊ですがひと昔前江戸市中を荒し回り極悪非道の限りを尽くしたワルでございます。 騒ぐんじゃねえ!うるせえ!静かにさせろ!どいてどいて!危ないよ危ないよ大変だよ!大変なんだよどうしたんです?邪魔だよ!長次郎あたしたちも手伝うわ。 両替商を荒らした盗賊捕縛に協力したゆえな。