CMW公認高級時計師です。 時計師としては最高峰の資格で亡命した国でたとえ言葉が出来なくても翌日から仕事が出来る唯一の資格と言われてるんですね。 同じぐらいの精度を部品の組み合わせだけで出すところに僕はこの機械式の魅力を感じるのですがねえ。 持ち主はファッションデザイナーの関一馬さんだそうです。 事件ですか?昨日奥多摩で自殺がありましてその遺留品です。 亡くなったのが時計の輸入販売をしてる会社の社長さんだったもんですから…。
うちの修理部門に津田っていう…業界じゃ名の知れた職人がいるんですけど彼に時計を作らせてブランドを立ち上げようって話で。 正直自殺したって聞いた時一番最初に思い浮かんだのは津田さんに設計図だけ書かせてあとは安い材料をプレス加工するって…。 買収を進めていた関さんにとってそれを防ごうとする藤井社長は邪魔だった。 別荘地の管理人の話だと毎日午後3時半にこの周辺を見回りしてるらしくその時はまだ藤井社長の車はなかったそうです。
だったらわかるでしょうけど彼は時計業界じゃ国際的な評価がある職人なの。 ヨウイチ・ツダの名前で純国産の機械式時計を若者にも手が届く価格で作れば絶対成功出来る!それに彼自身もかつては独立時計師を目指した。 独立時計師?オリジナルの時計を一から作り出す職人の事ですねえ。 は?書斎のエアコンのタイマーは24時間後までしか設定出来ないタイプのものでした。 関さんの商品は機械式時計の品質を落とそうとするものですよねえ。
しかし独立時計師を目指していた津田さんがどうして突然修理部門に…。 強盗?ローザンヌフェアって時計の見本市がスイスであるんですが津田さんがそこに出掛けてる間に…。 そもそも関さんには藤井社長を殺すつもりなどなかった。 あっちょっといいっすか?米沢さんからお借りした藤井社長の手帳のコピーです。 じゃあいない時間じゃなくいる時間を探っていた?なんのために?藤井社長の方が関さんを殺害しようとしていたとしたらどうでしょう?藤井社長には動機がありますからねえ…。
つまり前日この別荘に来た藤井社長はこの部屋で何かを落とした。 じゃあ何を落としたんでしょうか?例えば藤井社長の遺留品にあった車の鍵。 藤井社長の時計はまだありますか?ああ一課の方でも自殺という事で落ち着きそうなんでそろそろご遺族の方に返そうかと思っていたところなんですけど。 一度しか別荘に行った事のない藤井社長には内情をよく知りなおかつうまい仕掛けを考えてくれる協力者が必要でした。 実は仕掛けが時間より早く動いたのではなく藤井社長が時間より遅く行動したんです。