まだ箸は半次…そうなんだね?実は今から三月ほど前この店の跡取りの新太郎さんがお亡くなりになりました。 三両!いや五両!見くびるな!金で転ぶ男じゃねぇやい!酒も料理もお好きなだけ!食い物でも釣られねぇんだバカ野郎!駄目ですか!?これほどまでにお願いしても!え~い!焼津の半次様に二言はねぇや!お願いします!女将さんは心の臓に重い病を!今気力を無くしたら死んでしまいます!どうか…どうか!しょうがねぇな。 お亡骸は和泉屋さんの長男で板前頭をしている新太郎さんでした。
だ大事な絵皿が…!一体何の騒ぎだい!?番頭さん!若旦那が掃除を手伝うとおっしゃって…。 あのこれ…子供の頃女将さんにいただいたんです。 だけど次からは余計な真似は無用だよ。 ざまぁねぇぜ!一昨日来やがれ!うわっ!あぁ…!すまなかったな兄弟。 和泉屋の…?先生すまねぇがちょいと遊んでてくれ。 待てよ…もう一人目障りなのがいたな。 ちょいといいかい?あ!泊まってっておくれよ~!ちょっとちんけな事言うな…!これを見た事ないかい?あれ?これって甚平衛一家の政さんのじゃ…。 バカ!余計な事言うんじゃないよ!いいえ。
女将さん!しっかりして!浅吉さん医者!彦さん月影の旦那を呼んできて!へぃ!半次…。 半次が持ってた根付ってのは確かに磯吾郎が持ってたものだったか?えぇそれは間違いなく。 本当なの?彦さん!あの奉行磯吾郎が散々根付の事を言ったのに店を畳まざるを得まいのう。 甚平衛働き感謝するぞ。 やい甚平衛!てめぇらの魂胆よ~くわかったぜ!よくも新太郎を…あの世へ送ってくれたな!何だてめぇ…あいつの知り合いか?ハハなら丁度いいやすぐに地獄で会わせてやるぜ。 甚平衛親分。