いや～うちの奥さん今ストライキ。 ストライキ？女ってのはさなんで結婚するとああなるかねえ。 あ？亀山さん…私たち約束守れなかったみたい。 半年前友達と事業をやるからって東京へ。 亀山さん覚えてますか？私たちの結婚式…。 特に『エルガーのミニアチュール』はすばらしい。 ここに『エルガーのミニアチュール』があればすばらしいんですがね。 死体！死んでる死体見たんですよ！死んでる死体って…死んでる死体か？きのう阿部賢から電話もらって…。
お前の見間違いであってもなくてもな！ヤミ金でその阿部賢って奴追い詰めたんだからな！脅迫でお前パクんなきゃなんなくなる。 ちゃんと調べてくれたんすか！？調べたよ！都内の変死体記録も監察医務院の記録も全部！やっぱりお前の見間違いじゃねえのか？だって…信用してくれないんすか！？いらっしゃいませ。 お前そんなことしたのか！夫が死んだなら殺したのはあんたよ！奥さん被害届出してください。
あなたはその「阿部賢」という人と面識はあったんですか？直接貸したの俺じゃないし取り立ても電話だったから…。 …とするとあなたが見たというその死体えっとこれは…？阿部賢だよ。 彼女なら死体なんとかなるんじゃ…？やっぱ違うかなあ？違うとは？さんざん旦那に苦しめられた彼女がそんな奴のために遺体を持ち出したりしますかね？たまきさんどう思います？え？私？そんな夫のためにわざわざ危ない橋を渡りますかね？さあ私には…。 ではどちらへ？地下に葬儀屋の控え室があるので。
祭壇を組むときに遺体は柩に納められた。 しかもあなたはこの祭壇を組むときその部屋からご遺族を出ていかせたそうですね。 つまり部屋にはあなただけ…いや「あなた方だけ」そのとき一緒にいたのはご主人じゃないですか？あなた方はご遺体の入った柩と空の柩をすり替えたんです。 この祭壇を組み上げるとご遺族は柩を開けてご遺体を拝むことができません。 だからあなたはこの祭壇を選んだんですね？なぜ私が柩のすり替えなんてするんですか？あなたは彼のご遺体が必要だったからです。