いいから急げ！真知子…真知子！待てって！真知子ーっ！真知子！真知子！真知子！おーい！返事してくれーっ！どうすんだよ！真知子ーっ！真知子ーっ！真知子！真知子！真知子！おい嘘だろ！？おい！おい真知子！真知子！おい！♪～本香の出を申し上げ奉ります。 なんでこんな目に…！前歴データと照合した結果樋口常雄氏を刺殺した女は…。 えーさとみの夫須田昭文は１２年前あきる野市の秋川渓谷で殺害されいまだ犯人は挙がっておりません。
渓谷内のどこかで山ブドウを踏んづけたんだろうと当時の捜査本部は見ています。 なのに１２年前の捜査本部は現場周辺には山ブドウが多いからそれが付着したんだろうって勝手に推測したんだろ？はい。 須田昭文は事件当日の１２月１３日家を何時頃出たんだろうな？はい書類によれば…。 「なのにいまだに犯人が捕まらないなんて…」須田の靴の裏に付着していたブドウ果汁甲州という種類のブドウでした。 おい事件当日須田は山梨まで遠出したとは考えらんねえか？ええ？死体発見現場は秋川渓谷。
藤原健吾さんって方が経営してたんですが須田さんのバックについてた大きな会社はここを観光用のワイナリーに再開発をするのが目的だったようです。 亡くなった？ここに勤め始めた時には酒浸りでしたが以前こちらで働いていた藤原健吾さんの事を伺いたくて。 それじゃあ…彼女の本当の父親は藤原健吾さん？ええ。 須田昭文殺害当日の藤原健吾のアリバイは？はい。
管理官そこから推測されるのは須田昭文殺しの犯人はやっぱり藤原健吾でそれを知っていた娘の瑠璃子が１３回忌の日になんで瑠璃子はさとみを訪ねてったんですか？ああ～堂々巡りだ…。 ちょっといいか？捜査の不首尾を謝罪するためここのところ俺は樋口夫人に何回か会ってるんだがこんな事を聞き込んだ。 樋口家は先々代が病院を大きくした功労者で自分が生まれた卯年にちなんだ香道具を作ったそうだ。 以来１２年に一度の卯年の師走に親しい人を招いて門外不出のその香木の香りを一緒に楽しむお香会を催す事が樋口家の倣いとなった。
「はい」さとみさん？やっと電話に出てくれたのね！今どこにいるの？樋口と同期生だった教授が言ってた遭難死事故リングワンデルンク？山道で雪や霧のために方向感覚を失ってしまい同じ場所を円を描くようにさまよってしまう事です。 日帰りの予定だったんですが夕方から雨風が激しくなり下山するのはとても無理なので仕方なく樋口君吉野真知子さんと山小屋に避難し不安のうちに夜を過ごしたのですが…。
須田と樋口は知られてはならない秘密を共有していたのかもしれねえよな。 だから大きな病院を継いだ樋口は１２年前その秘密を守るために須田を殺した。 「あっ片岡…」樋口夫人に借りたその伽羅が入ってる香箱を鑑識で調べたところ須田昭文の指紋が付着していたんだ。 どういう事だ？１２年前の１２月１３日金の無心のため須田昭文は安曇野に樋口を訪ねた。 しかし樋口が金の支払いを拒否したか何かで揉め須田は腹立ち紛れに樋口が抱えていた香箱から高価な卯年の香木伽羅の香木を１本奪い取った。
さとみはきっと山登り仲間でお香をたしなむ樋口の事を須田から聞いてたんですよ。 だから須田の遺体からは樋口家の家宝の伽羅の香りがした。 以来殺人を犯してしまった贖罪意識が瑠璃子に重くのしかかった。 復讐のために犯行を犯したって言いたいの？皆さんはどう思いますか？浅野熱大丈夫？熱。 なんだっけあの…あっ管理官須田が安曇野の樋口の家を車で出たのは何時です？お香会が午後３時からだったからその少し前だな。 須田の車は死体発見前日の１２月１３日からここにとめられていました。
兵藤瑠璃子です。 えっ！？やっぱり！やはり瑠璃子が一連の事件のキーパーソンだったんですよ！よし兵藤瑠璃子を任意で事情聴取しよう。 須田さんが殺されたあとここを観光用のワイナリーにしようっていう計画は潰れたんですけど組合や仲間たちに不義理をした藤原さんは警察の方にお話しする事は何もありません。 被害者や容疑者にされてつけ回された人の事なんてあなたたちはみんな忘れてしまう！新しい法律が出来て被害者家族は少しは救われるようになったけど容疑者は？容疑者家族は？ええ。
この間も伺ったんですがこのワイナリーには甲州ブドウの木１本もないはずですよね。 では…これはなんでしょうか？瑠璃子さんが描いた兵藤ワイナリーのポスターの原画なんですが。 ジュゼッペ・ペノーネはね今から７年前ブドウの搾り汁を使ってワインのラベル用にブドウの葉っぱの絵を描いたの。 瑠璃子さんは１２年前ここに持ち込んだ甲州のブドウ果汁を絵の具に混ぜて本物そっくりの色合いを出したんですね。 分析結果と勝沼のブドウ園の人の話を聞く限り１２年前このワイナリーには甲州の木は１本だけ存在した。
山梨で観光用のワイナリー化を進めてた須田はこの桔梗ヶ原でもその計画を実行しようとしてました。 須田さんは３０年前あなたと真剣に交際していた吉野真知子さんを死に追いやった男だった。 真知子は…須田と樋口に乱暴されたんです。 人一倍慎重で絶対に単独行動をしない真知子が１人で下山するなんてよっぽどの事があったんだろうと。 あの日…突然現れた須田に私は長年抱いてきた疑問をぶつけた。 樋口が持っていた甘松をたいたら真知子の奴甘松？何もするなって方が無理だよ。