まずは１４時より東京中央百貨店向井部長。 同窓会に出るんですって？どういう風の吹き回しで？モデルの仕事はもう辞めたんです。 首都東京の表玄関ＪＲ東京駅１日の平均乗降者数およそ百万人これだけ多くの人々が行き交えば落とし物お忘れ物の数もまた半端ではなく…もしかして…これですか？あった！これですこれ！かわいいですね。 髪留め届いてませんか？髪留めっていうと…ヘアアクセでしょうか？今のところはまだお届けは…。 お二人の別居解消を願ってみんなで企画した会なんですから。
いやいや無理だって！勘弁してくださいよ！最近太って体が重いの！いいだろ！やだやだやだ～！あ…！同窓会のあとはどうされました？同窓会がお開きになったのが９時半くらい。 昨夜若い女がマンションを出て行くのが目撃されています。 こちらに望月幸平さんいらっしゃいますか？はい。 な…何か？失礼ですが昨夜はどちらにいらっしゃいました？はい？実は殺人事件の裏づけ捜査でして。 殺人事件！？午後９時から１１時の間箕島早紀という女性がそうです。 望月幸平さんですがあなたと一緒だった事は認めています。
殺された社長さんってその銀座のお店のお客さんだったのよね？疑われても仕方がないんじゃないの？夜一人でマンションを訪れるような関係だったとすれば。 ただどうしても見てもらいたいものがあってえっ？じゃあ例の陶器の髪留めが？信楽焼で結構古いものだって聞いてたから…価値がどれくらいのものか知りたくて。 そんな事思ってたの？最低！だってさ世間の目ってのもあるでしょ？世間体なんてどうだっていいの！本当に帰りたかったらもっとちゃんと言うべき事を言いなさい！世間体どうでもいいの？あっそう？行っちゃうよそれじゃあ。
和晃さん奥様はどちらへ行かれたんですか？さあ？またぞろ警察沙汰にでもならなきゃいいけど…。 あなたどうしてこんなものを…！？私は殺してません！ご主人とはほんのたまたまホステスとお客として知り合っただけでそれ以上でもそれ以下でもありません！奥様戻りましょう。 もしかしてそれ兵藤社長の事ですか？あんたたちあいつを知ってるのか？ええまあ…。 創業２００年の大事な時期に社長さんが亡くなって大変でしょうね兵藤製陶は。 それが…殺された社長の兵藤敦夫さん。 業を煮やして探し回った揚げ句今度は沢井家の遠縁の和晃君を…。
でもさわざわざ義理のお父さんを殺さなくたっていつかは自動的に社長の座が転がり込んでくるんでしょう？割り切った義理の関係だけにその「いつか」が待てないって事もあるんじゃない？他にも急ぐ理由があるかもしれないし…。 ああリエコさんの事？えっリエコ？彼女の源氏名。 兵藤社長が死んじゃったんじゃ。 それってどういう意味？月に一度か二度兵藤さんが来る日だけは皆勤賞。 あなたを兵藤製陶の次期社長にするつもりはありません。 兵藤家の財産を横取りしようったってそうはいかないって。 兵藤家の財産？遺産ももらえない。
「今朝早く滋賀県甲賀市内の神社で自殺死体で発見された兵藤和晃さんは先週東京都内のマンションで殺害された兵藤製陶社長兵藤敦夫さんの養子で警察では…」なんだかややこしいなあ。 「犯人はまだ見つかっておらず現在も捜査は続けられています」「警察の捜査では事件当日兵藤さんは午後５時頃に取引先の百貨店を出て帰宅信楽署の者です。 早紀さんお母さんの名前のリエコを源氏名にして執拗に兵藤社長に印象づけようとしてた。
理恵子さんはもとより澄子さんも俺たち職人も敦夫自身も不幸に…。 近づいて様子を伺っていざ決行のその日に決意表明として形見の髪留め使ったかもしれないでしょ？浄観寺…墓地…？誰か知ってる人のお墓があるとか…。 兵藤社長が理恵子さんにこの髪留めをプレゼントした時熱い！あ…でもおいしい！うんうん！早紀さんもさ冷めないうちに食べたほうがいいよ。
その手紙本当の娘として？箕島と名乗ってはいますが私はあなたと榎本理恵子の間に生まれた娘ですって…。 でも理恵子さんは信楽の町を捨てたのでは？だから信楽に墓地をたててあげようと…。 いや考えられないよそんな手紙！知らない女からさ水茎の跡麗しき手紙がきてだよ「私あなたの娘です」なんて書いてあったらさ俺どうなっちゃうのかな…？何想像してんだろうこの人…。 いや兵藤社長がさ仮に読んでないとしてもだねリエコリエコってさ…露骨にアピールしたらこれなんらかの反応はあってしかるべきじゃないのかな。
一体どういうお話でしょうか？奥さんは最初早紀さんの事をご主人と親しい単なるホステスだと思っていたんですよね？ええ。 片岡さんはそれから東京出張の度に理恵子さんの店を訪ねて２人に気づかれぬように見守ってましたね。 その後社長のお供で行った銀座のお店でリエコと名乗るあなたを見た時すぐに気がつきましたよ理恵姉ちゃんの娘だと。 早紀さんと理恵子さんは実の親子以上の絆で結ばれていた。 だからこそ兵藤社長の仕打ちが許せなくて本当の娘の気持ちになって手紙を書いたそうです。