そうだ杉下右京だ。 朱雀武比古から警察庁の主席監察官朱雀と非常に密接な関係を築いていた人物らしい。 あの…ご主人とはどれぐらいご一緒に…？ご結婚はいつでしたっけ？正式に結婚はしてないんですよ。 でも確か結婚発表なさいましたよね？いつだったかな…だいぶ前ですけどテレビで見た記憶が。 正式に結婚はしてなくても夫婦同然に暮らしてましたから。 私小峰夕月のマネージャーをしております松永と申します。 なんとかならないのかなと思ってでも杉下右京は飼っとくとなかなか役に立つよ。
「今日の午後６時頃女優の小峰夕月さん宅に強盗が押し入り午後６時３分。 そして警邏中のパトカーが現場に到着したのが午後６時２０分頃です。 近隣の住人が銃声を聞いたのがこれはおおよその時間ですが警察官が到着する５分ほど前つまり午後６時１５分頃だったと思われます。 現場を確認ののち警察官から緊急配備の要請を受けたのが午後６時２６分。 おい送別会いつだ？何？離れ小島の警部殿の送別会だよ。 そうなんですか？ロンドンの右京さんの恩師がね以前から来て来てっておっしゃってくだすってるの。
で何が気になってるんですか？強盗事件という事になってますが結局は何も盗られなかった。 警察への通報でご主人が「強盗」という言葉をなるほどな。 十分検討するに値するアイデアだ。 え？杉下右京だな。 そんな事していいんですか？いいに決まってんだろう！ＦＢＩだってな超能力者を雇って事件を解決してんだよ。 超能力者まがいなど相手にする必要はない。 杉下右京はクビになった刑事だ。
どうして中に入りたいんですか？先生の原稿が貰いたいんです。 亡くなった古谷彦六先生の原稿です。 押収品の目録に原稿はありませんでしたね。 夕月さんに確認したらなんか先生スランプだったみたいで一行も書けてなかったっておっしゃるんですが…。 もしあれば古谷先生の遺作になるわけですからね。 先生のためにもぜひオンエアしたいと思ってます。 ちなみに古谷先生はどんな作品をお書きになってたんですか？事件ものです。
もはや原稿自体を発見することは不可能でしょうがせめて創作ノートのたぐいでもあればその中身を窺い知る事が出来るかもしれませんから。 このようにですね紙が何層にも張り重ねてあるようですがとりあえず上から張ってあった最新の壁紙を細心の注意を払って「強盗かもしれないと伴侶に通報させる」偶然でしょうかねえ。 結婚！？お相手は？亭主を亡くしたばかりの未亡人じゃないか。 君はもうしばらく悲しみに打ちひしがれる未亡人を演じなきゃならなかったんだ！私女優だもんね…演じるのは得意よ。
なぜ？トイレの壁は何層にも古谷先生のメモが貼ってありました。 アイデアを書き込む場所がなくなるとその度に古谷先生は貼り直して新しく書き込めるようになさっていたようです。 あの段階で古谷先生が貼り直すとは思えません。 古谷先生とあなただけです。 彼女と古谷先生は未入籍だったわけですから。 小峰さんはトイレには一度も入っていないと彼女は嘘をついてるってことですよ！入ったことのない人の髪の毛が落ちてるわけない！えぇ！「私…結婚します」「お相手は？」「彼です」もう一回お願いします。
何ぃ！？超能力者の警部殿の手柄だろ？お前はいつもどおり腰巾着してただけだろ？髪の毛は俺が見つけたんだよ！へ～珍しいこともありますね。 あっ！おいやめろ！馬鹿野郎！とっ捕まえてフィルム没収しろ！はい！ちょ…ちょっと待て！！お疲れのところ相すみませんが署までご足労願えませんかね。
壁紙をはがしてくれとあなたに頼まれてあのトイレに入った時一通り調べてみました。 …どういうことですか？つまり…あの毛髪は捏造された証拠品ではないかと。 は…？またいした証拠品じゃないからそう目くじらを立てることはないと思うんですが一応疑問は疑問としてお答えをいただこうかと思いまして。 彼女がトイレのメモの上に壁紙を貼ったことは間違いない。 冗談じゃないスよ！俺はあなたの策略に引っかかって髪の毛１本を大発見したみたいにはしゃいで…。
小峰夕月さんのとそれから古谷先生のも。 フロントに訊ねると今朝向こうひと月分の宿泊代を前払いなさったとか。 しかしホテルの駐車場には国内ではなく九分九厘海外だと思いました。 そんなふうにおっしゃってたあなたが今度は一転結婚宣言をなさった。 長年夫婦同然に暮らし世間にも夫であると認知されていた古谷先生とは結局結婚なさらなかったあなたが調べたのね。 その時ね私将来女優になりたいって言ったら女優になるためのレッスンを受け始めたわ。