好美…何してんのよ？こんなとこで何してんのよ？起きなさい！ねえ…！好美？…好美？港区新橋西３丁目高村総合法律事務所内において男性の刺殺体発見。 前胸部左乳頭部右斜め下方１０センチ正中左方４センチの部位に創縁接着時４センチの刺切創１個。 死亡推定時刻は？直腸内温度は２４．１度。 ですから死亡推定時刻は昨夜午後６時から８時の間と思われます。 死亡推定時刻は保留。 となるとだ死後硬直の程度と直腸内温度から割り出した死亡推定時刻は昨夜の６時から８時の間に合致すると考えていいと思うよ。
つまり２つの死亡推定時刻が出たって事ですか？一体どっちが正しいんですか？どっちが正しいかは今はいい。 どうだ？死亡推定時刻はゆうべの午後８時から１０時の間。 ああ？２年前に起こった無差別通り魔事件。 え～諸君も承知しているとおり先日都内で起きた弁護士殺害事件と神奈川の病院長殺害事件にはその犯行手口の類似性また被害者が両名ともに２年前の無差別通り魔事件に深く関与しているという事実から同一犯による犯行ではないかという線が浮かび上がりこうしてここに合同捜査本部が設置された。
「本日ここで２年前に起きました無差別通り魔殺人事件における被害者４人のご遺族によるねえどうしてママ死んじゃったの？あの…ちょっといいですか？あの時…いてくれたんですよね？霊安室に。 被害者両名は２年前無差別通り魔事件の犯人波多野進を無罪にしている。 …となれば容疑者はこの中にいる！犯人が死亡推定時刻を欺くために死体に細工をしたからだ。 恐らく加古川院長もおんなじだ。 高村加古川の両名は波多野を無罪にした張本人ですよね？憎かったでしょう？そうね。
８年前高村と加古川が組んで殺人事件の被告となったある男を心神耗弱で減刑しようとした案件が神奈川管内であったはずだ。 唯一の肉親である父親の浦部謙作は当時神奈川県警の現職刑事で今は所轄の駐在所で勤務をしています。 高村加古川両事件ともアリバイは証明されていますから。 通り魔殺人事件発生検視にあたった倉石は愛する人を奪われた遺族の悲しみに触れる最後の声を聞かせてくださいよ！殺せー！しかし犯人は心神喪失とされ無罪となった俺のとは違うなあ…。
罰…？息子に容疑がかかった時私は何も出来なかった。 被害者の遺族に波多野から謝罪の手紙が届いてるそうですね。 倉石さんは最初からそう見抜いてた。 小坂さん！倉石さん倉石さんって言うのやめましょうよ！いつでも倉石さんが正しいとは限らないじゃないですか。 許可？許可なら今度取るよ。 今度は加古川の現場に無断で立ち入った揚げ句うちの検視官にも加古川の胃の内容物を組織をなめない方がいい。 明日は横浜医大の安永教授とお話をする日です。 こんな手紙読まないでよ。
直子！先生は昔将来を嘱望された外科医だったって聞いた事がある。 法医学を始めたのは理不尽に命を奪われた人の最後の声を拾うためだ。 だからこそ法医学者として最後の声を拾い続けようと思った。 県警の調べじゃ加古川院長は直腸内温度に矛盾がない事から先生は死亡推定時刻を午後８時から１０時の間と鑑定してる。 けどよ加古川が食事をしたのが正午過ぎ…。 死亡推定時刻をずらす細工がわかったような気がします。 つまり犯人は直腸内温度を狂わせるために高村の時とは違う方法を用いたって事です。
お願いします！安永教授の指紋は警察関係者って事でデータバンクに入ってるそうだが出ると思うのか？正直わかりません。 「私は４０年近く警察官として奉職して参りました」「警察官である事は私にとっては誇りであり生きる糧でした」「ですが８年前息子がいわれなき罪に問われこの駐在所で生きてきました」「だが今高村と加古川が殺され私が疑われている」戻りました。 おかしいなと感じたのは加古川の解剖後の先生の縫合だ。
もしそうだとしてもあの精神鑑定を採用し刑法３９条で無罪判決を言い渡したのは裁判長だ。 違いますか？あなたの鑑定によって心神喪失を演じおぞましい犯罪を実行した犯人が無罪となった。 その責任や覚悟をどう考えるんですか？ああ…僕は精神科の医師ですが精神鑑定なんてのは十人十色だと思ってます。 この男の事も詐病である事を知りながら心神喪失者に仕立て上げた。 倉石…倉石！うおーっ！先生！先生！先生しっかりしろ！大丈夫か？倉石…倉石…。