安原君は自殺なんてしません!ちゃんと調べてください!状況から見て他殺の可能性はないと判断したんです。 ちわっす!時創舎っていう小さな出版社で編集アシスタントをやっています柘植瑛子です。 安原君はそのゼミの学生でランボーの再来と言われるほどの才能の持ち主でした。 安原さんが亡くなったときの状況を順を追って話して頂けますか?その日は城戸幸四郎ゼミの学生たちによる卒業朗読会でした。 安原君は来月うちの出版社から初めての詩集を出すことになってました。
五十嵐先生か城戸先生なら毒を入れられるんです。 めったなことを言うんじゃない!五十嵐先生ですが安原さんを自宅に住まわせていたそうですねぇ。 五十嵐先生はもうじき文化勲章を受けるらしいです。 五十嵐先生が詩壇の重鎮だったことからトラブルを避けたい出版社は朋美さんが盗作をしたと一方的に決めつけた。 「生きることは暗闇を迷うこと」「だけどそれは光がある場所へたどり着くための道」あっそれ安原君から聞いたことあります。 安原君はその詩に感動し朋美さんに手紙を書いたそうです。
五十嵐先生は7年前に自殺なさった梅津朋美さんをご存じですよねぇ?先生の詩を盗作したとして詩壇から追放された詩人です。 社長は安原君が即興の詩を思いついたんだって言ってましたけどでもあのときの安原君…新しい詩を思いついたような顔じゃなかったんです。 「祈りとともに吐く息は静かに舞い上がった」「祈りとともに吐く息は静かに舞い上がった」「それは闇にたなびく天の川となる」「それは闇にたなびく天の川となる」まったく同じです…!安原君は7年前に朋美さんが盗作したとされる五十嵐先生の詩を詠んでたんですね。
安原君は五十嵐先生だと思った。 それでノートを見つけるために五十嵐先生の家に下宿したんですよ。 もしそのノートに五十嵐先生の詠んだ『水に書いた物語』が書かれていたら…盗作したのは五十嵐先生の方ということになりますね。 あのーどういうことですか?五十嵐孝介氏が7年前に朗読会で詠んだ詩。 これだ…!!そしてその詩を五十嵐孝介氏に渡した。
安原さんはご自分が自殺ではなく他殺だと思わせる仕掛けをしその容疑が城戸先生に向くようにしたんです。 まず安原さんは城戸先生のパソコンからインターネットにアクセスし硝酸化合物の毒を入手しました。 4年前に城戸先生が刊行した詩集です。 城戸先生が7年前の盗作事件に絡んでいること…。 堂々と告発できるものをあえて城戸先生に疑いが向くように仕掛けた。 あなたは安原さんが病気を苦に自殺しようとしていることを知ったとき堀江さん…あなたですよ。