みをつくし料理帖

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この番組のまとめ

所変わって文化九年江戸その頃江戸の町は十一代将軍徳川家斉のもと世界に類を見ぬ百万人都市として文化芸術の爛熟期を迎えていた絵画文学はもとより人々は食にも精通し至るところに店屋が開かれ屋台煮売り屋から高級料亭まで所狭しと立ち並んでいたありがとうありがとう。 上方では奉公人が客をつかまえて教えを請うのか?小松原様か?さあな。 江戸じゃあ小振りで味の濃い深川牡蠣はこうやって食うもんだと思い込んでんだ。 いつか天満一兆庵の暖簾を江戸に…。

旦那あの子は八つの年に両親を洪水で亡くして大坂の名店天満一兆庵の女将に拾われたんです。 旦那さんが?澪明日から板場へ入んなはれ。 嘉兵衛はどうやった?あんたに手取り足取り料理の仕方教えてくれはったか?それだけあんたに期待をかけてくだはってるという事やないのか?せならあんたはあんたの力で江戸のお客さんのお口に合うもんを考え出さな。 つる家の旦那さんにもようしていただいて料理まで作らせていただいて。 ご寮さん!ご寮さん!大丈夫どすか?ご寮さんしっかりしておくれやす。 神田旅籠町の永田源斉と申します。

おっ源斉先生!源斉先生はいるかい?はいはい!ここに。 その扱いは遊女の中でも別格で客は大金をはたかねば大文字屋の胡蝶までいるぜ!お狐さんこおんこん!吉原一と噂されてる花魁の事さ。 なあ源斉先生。 その扱いは花魁の中でも別格といわれてるんだがなさあこっちへ来い!旦那旦那…。 それにしても源斉先生が吉原の大見世のあるじと顔見知りとはね。 源斉先生の父上は将軍様に仕えるお医者さんでな。 あ!旦那さん何かけてはるんです?何って酢醤油だろ?うちらの方ではところてんにはお砂糖です。 旦那さん!お澪坊…。

種市がその気になれば腕の立つ料理人を雇えばいいだけの話。 この子は上方の料理屋できちんと修業を積んで…。 まずは毎日日替わりで三品を作りお客さんに召し上がっていただこうと思います。 初日は栗飯に秋鯖の山椒煮。 旦那さん!やれ脂っこいだ季節外れだのと見向きもしなかったのだうちにはようわかりません。 俺にも一つくんな!江戸っ子はしゃれが好きはてなの飯の正体が戻り鰹と知っても腹を立てる事なくかえってその趣向を面白がったそうして噂を聞いた客たちが次々店に押し寄せたのだった勘定ここ置いとくよ。

だがそれはいくら人気を取っても料理の本筋からは外れるものだ。 料理の基本がなってない。 料理の事もようわかってはる。 あのお方はこれを料理の本筋から外れてる言わはった。 せやから料理に納得が出来へんのんや。 料理番付まで作られていたのである日本橋登龍楼はその料理番付で必ず大関に選ばれる江戸一番と評判の料理屋だったどうぞお気を付けて。 三軒も?ふん!まねなんかしたってこっちは本家本元なんだよ!どーんと構えてりゃいいのさ。 私はものの味をそんな風に表現出来ません。 茶碗蒸し。

巷で噂の茶碗蒸しとやらを食べてみたいと茶碗蒸しは上方のものと聞いた。 あんた名はなんてんだ?これが巷で噂の茶碗蒸しでありんすか。 料理番付表に載ったんだよ!初星取っちまったんだよ。 つる家のとろとろ茶碗蒸しが番付に載ったんだ。 こんな事茶碗蒸しを出して以来初めてじゃねえか。 どいて!訳がわかったよ!日本橋登龍楼が神田須田町に新しい店を出したんだそうだ。 ああそれから噂の茶碗蒸しとやらもらおうか。 茶碗蒸しはもともと上方にある料理だす。

太一大丈夫だよほら…。 旦那さん…。 旦那さん…。 天満一兆庵の暖簾を江戸に…。 旦那さん…すんまへん。 天満一兆庵の暖簾を継ぐなんて最初から…最初から無理やったんや。 旦那様お気を付けて。 あれが登龍楼の旦那か。 これを屋台見世で売ろうと思います。 屋台見世?けどうちに出来る事はこれしかありませんから。 土圭の間の小野寺がそう言っていたと采女に伝えろ。 土圭の間の小野寺…。 旦那さん!申し訳ありません!旦那さんに黙って勝手にこんな事して…。