我が青梅医療刑務所は法務省管轄です。 あっ…!警部殿と警部補殿…!?なんでいるんですか?医療刑務所で殺人事件とお聞きしまして。 佐野先生は被害者以外にも教誨を勧めていたのでしょうか?いえ私の知る範囲では浪岡だけだったと。 ああっ…!受刑者フロアと職員フロアを仕切る扉には鍵がかかっています。 ここで調理をする経理夫はどうでしょう?経理夫…?刑務官の作業を手伝う短期の受刑者です。 あっ!あれ?受刑者の捜査は僕らの担当では?いやお二人は病気の受刑者です。 去年の12月危篤状態で青梅医療刑務所に移送されています。
何せ暴力団員には仮釈放はないですから。 いえ浪岡は暴力団を抜けたようですよ。 女は浪岡と同じ暴力団員の妻でした。 つまり浪岡に暴力団をやめる意思はなかった。 その受刑者も浪岡同様ここで治療中。 あっ江田の独房にあった封筒でしょ?ええ受刑者が便箋や封筒を要求することはあると思うのですが。 1週間前被害者遺族に手紙を出したいという理由で。 被害者遺族へ手紙を…。 その江田が1週間前被害者遺族に手紙を出したいと言い出した。
あの…なぜ江田さんが教誨を希望した理由を調べてるんですか?浪岡さんの事件と何か関係が?江田勉は被害者遺族に手紙を出そうとしました。 1週間前彼の身に何かが起きた。 1週間前江田さんが教誨を希望された日の朝…。 これは佐野先生からもらったものですか?1週間前から教誨を受けているとか。 江田はあの時間被害者の房に入れたはずですよね。 被害者の房も江田勉の房も鍵は開いていました。 江田は炊場つまり調理場へは行けません。 あの時間炊場に入れたのは職員全員と戸村という経理夫。
心の広い被害者遺族ですね。 これが被害者遺族の本心なんでしょうかねぇ。 いえ番号を振ったのは被害者遺族ではないと思いますよ。 「出所したら殺す」それを見て逆に被害者遺族を殺してやると叫んだ。 筆跡鑑定の結果この手紙は茂田早奈江さんの筆跡ではありませんでした。 浪岡が仮釈放の身元引受人に指定した内縁の妻は彼と同じ組員の妻です…そういった内容です。 その被害者遺族の名をかたり浪岡に返事を出したのは一体誰でしょう?その手紙に「出所したら殺す」と番号を振れるのは刑務所内の人間ですよね。
あっ佐野先生って浪岡に教誨を勧めてたんですよね。 事件の時も最後に浪岡の房にいたのは佐野先生。 「浪岡収造を殺したのは私です」「その罰を受けるため残りわずかな命を放棄します」遺書…。 茂田さんには浪岡殺しの動機があります。 これを捜査本部に話せば茂田早奈江さんは浪岡殺しの容疑者として捜査の対象になります。 浪岡こそ被害者遺族の恨みを知るべきなんです。 手紙はこの刑務所に届きその夜浪岡は再び手紙を見てそれに気づき…。