エド・クレメンス?70年代のアメリカのジャズ界を席巻したピアニストでわずか30歳で亡くなったんですがその天才的な技法は「奇跡の指」と呼ばれまして…。
ですが遺失物は駅構内や店舗内で拾った場合24時間以内に係員に提出しない限り報労金の受け取りまた落とし主が判明しなかった際に遺失物自体を引き取る権利を失う。 相沢さんがどうかしましたか?ええ南千住の廃工場で死体で見つかりました。 最近話題の『エド・クレメンスの腕』ご存じでしょうか?その件で昨日中根署で相沢と会って名刺はその時に。 確か落とし主の坂巻社長はその場で相沢さんに現金の謝礼を渡したんでしたねぇ。 ああそういえば被害者は殺される前近くのキャバクラでかなり豪遊してたって…。
で今日はどのようなご用で?実は『エド・クレメンスの腕』を拾われた相沢良明さんが今朝遺体で発見されました。 忘れ物といえば数年前ロンドンで世界的ミュージシャンの蝋人形の首を出品者が電車の中に忘れてしまいそれによって価格が数倍に高騰したという出来事がありましたねぇ。 でしょ?だってヤラセが事実なら坂巻社長は相沢良明に弱みを握られていた事になるわけだし。 その場合相沢良明が坂巻社長に高額の口止め料を要求していたと考える事も出来ますねぇ。 つまり坂巻社長は相沢殺害の動機がある。
坂巻社長と相沢さんが共同出資で名を連ねていますね。 ホワイトグラブズの坂巻社長は殺された相沢と組んでわざと『エド・クレメンスの腕』を落としたふりをしてマスコミを利用して価格のつり上げを謀ったんです。 それってヤラセって事かよ!?ところがそのヤラセ計画を坂巻社長の部下の川南という男がジャズ評論家の盛谷弘光にリークしていたんです。 そのために川南は盛谷に相沢の居場所を教え盛谷は言われたとおり相沢に接触した。
で頼み事とはなんだね?次長はホワイトグラブズの会員でいらっしゃいますね?ほう…なぜそれを?先輩CAに会員の人紹介してもらって苦労したわよ。 いかがでしょう?」「他にどなたもいらっしゃらなければ奇跡の腕は5100万円での落札となります」「窓際の英国風紳士から6000万のビッドです」「次は6100万になります」こちらの紳士が6100万円で落札です」はーい静かに!静かにして!失礼しますよ。 何しろ事はこのオークションハウスの名誉に関わる事ですから…。
しかし狡猾さでは相沢良明氏の方が一枚も二枚も上でした。 そこの社長から相沢良明に頼まれて偽物の腕を作るのに協力したという供述も得ています。 相沢良明氏が届け出たこの腕が真っ赤な偽物だと優秀なスペシャリストならば当然すぐに気づいたはずです。 どうして相沢良明氏がそのような事をしたのか。 例えばいつどこで掘り出し物を見つけてもいいように常に手袋を備えていてなおかつ相沢良明が本物の腕を持っていると知っていた人物…。 犯人はそれを奪おうとして相沢良明殺害に至ってしまったわけですから。