「現在検視官による検視中」現場の状況からして事件性は薄いな。 ええバクテクロリスを学会で発表してからは。 ちなみに高松教授がお亡くなりになったとするとその研究を続けていくのは難しくなるのでしょうかねぇ。 おや大丈夫なんですか?バクテクロリスを発見したのは高松先生ですが研究は光合成細菌を専門とする栗田先生がしてるんで。 栗田先生…?高松先生の共同研究者です。 バクテクロリスを培養しています。 これがバクテクロリスです。
えっでも確か硫化水素で死亡すると体の表面が変色したりするはずでは?さすがによくご存じです。 例えば高濃度の硫化水素を一瞬で吸い込むとか。 それほど高濃度の硫化水素がどこで発生したのか。 高濃度の硫化水素ならかなり臭うはずですな。 例えば袋に入れた高濃度の硫化水素を一気に吸った。 だとするならば高濃度の硫化水素をどこかで吸い込んで死亡したあと遺体発見現場まで運ばれた。 そして遺体がほとんど臭わないよう毛髪や着衣に残った硫化水素は可能な限り除去されて…。 どのような?高濃度の硫化水素を固形物にして飲み込んだ。
「光合成細菌は炭酸ガスや硫化水素という毒性の強い物質を無毒化するがバクテクロリスは炭化水素を蓄積する過程で硫化水素も蓄積する」気になりませんか?バクテクロリスは硫化水素も蓄積…。 バクテクロリスから硫化水素を取り出すのはその手の知識と技術があれば可能だそうです。 しかもバクテクロリスからはかなり高濃度の硫化水素が抽出できるそうです。 高松教授の命を奪った硫化水素がバクテクロリスから取り出したものかどうかは米沢さん…。
バクテクロリスから取り出した硫化水素との照合は可能だそうです。 高松教授を殺した硫化水素ですが当然保存されてますよね?もちろんです。 だから私が殺したと?このバクテクロリスの硫化水素と高松教授の命を奪った硫化水素が同じものかどうかわかるそうです。 高松教授を殺した硫化水素ですが保存されてるんですよね?はい…。
いつ硫化水素を浴びたかというご質問ですが…。 いつ硫化水素を浴びたのかわかるそうですよ。 いえ高松教授ではなく犯人が。 は?高松教授の死亡現場はあちらでした。 しかしこのトイレに硫化水素の痕跡はありませんでした。 つまり高松教授の死後何者かがこのトイレの窓を開け硫化水素を排出しここを丹念に掃除したという事です。 その間犯人は硫化水素を浴びた可能性が高い。 栗田教授の毛髪です。 栗田教授です。 栗田教授?「話したい事があります」どちらに伺えばいいでしょうか。 それも高松教授をやったのと同じ手を使って。