え?あーシェイクスピア。 土曜日に私もね杉下さんにシェイクスピアの舞台観に連れていって頂くんです。 花見町の新しい劇場にイギリスの劇団が来るんですって。 シェイクスピアの戯曲は深い人間洞察に基づく名台詞の宝庫なんですよカイトくん。 ハムレットが爆弾!爆弾だってよ!なんだよ今の音!?交番!それに君靴はどうした?来るな!僕に近づくとあなたも殺される!はあ?「余計な事は喋るな」おい。 「何言ってんだよお前」「警視庁甲斐享だ」警察官と聞いては帰すわけにはいかないな。 文句があるなら公安部長に言え。
「今回の交番爆破事件は警察を標的とした計画的なテロの可能性がある」我々公安部の方で交番爆破の容疑者を特定したのでお知らせに。 彼は天才的な爆弾クリエイターで依頼を受ければ容姿年齢その他一切は不明なのです。 えっ!?J・ボマーが今夜8時産業センタービルのロビーでテロ組織のリエゾンつまり連絡係と接触するという情報を入手しました。 ちょっとよろしいでしょうか?なんだ!?交番爆破直前に不審な少年が目撃されていまして。 この少年は靴も履かず爆発直前に真っ青な顔をして交番の方へかけていったそうです。
お前名前なんて言うんだ?爆弾魔とテロ組織の連絡係に逃げられたら引き続きJ・ボマーの情報を集めつつ一刻も早く甲斐巡査部長と少年Aを見つけ出す事だ。 「北村悠馬月島高等学校定時制3年生」…。 今日カイトくんは健康診断へ行ったはずですがどこの病院かご存じですか?勝どき総合病院です。 どうやらカイトくんが今北村悠馬くんと一緒にいるのは偶然ではないようですねぇ。 悠馬くんは家族思いでねずっとアルバイトしながら学校に通ってるんですよ。
新聞では桂木涼さんと山王美紀子さんは被害者が理事長を務めていた山王財団は彼女の志に賛同して出資する予定だったんです。 しかしこの北村悠馬という少年はどういうわけで山王美紀子事件の記事など持ってたんでしょう?彼のアルバイト先で尋ねてみたところ…。 彼女が聞いたバイクの音は逃げ去る犯人のものではなくピザを配達した北村悠馬のバイクの音だったかもしれない。 僕は甲斐くんは北村悠馬くんと行動をともにするよう強制されているのではないかと思います。
ですが彼の行動の背景にあるのはテロ組織ではなく山王美紀子事件ではないかと僕は思っています。 あっ杉下警部。 お尋ねの山王美紀子事件のペンライトの件なんですがそのペンライトに指紋はなかったという事ですね。 このペンライトの中も確かめて頂けませんか?ペンライトの中ですか…。 正木部長から杉下警部に昨夜の防犯ビデオを届けるようにと。 杉下警部が言っているように彼がなんらかの脅迫を受けて行動を強制されている可能性も考慮すべきです。 内村刑事部長は命に別条はないそうだ。
甲斐享に対し警察庁指定被疑者特別指名手配を行う。 甲斐享が犯罪を犯せば暗黙の裡に警察庁次長の息子という配慮の歯車が動き出し事は隠蔽へと向かいかねない。 甲斐享が私の息子だという事は事件とは一切関係ないものとして捜査にあたるよう命じるためだ。 これ生きてるのか?リモコン!「特別指名手配された甲斐享容疑者は現警察庁次長甲斐峯秋警視監の次男でまあ今は逃走中の狙撃犯だけどな。 あんたが言うように狙撃犯が警察官ならNシステムを使ってこの車を追跡出来る。
で本部長はなぜここに?山王美紀子事件がどうにも気になってね。 ペンライトとは山王美紀子の遺体のそばにあったペンライトの事か?桂木涼さんの主張どおりペンライトは彼女のものでなかったとしたら…。 真犯人が奪いに来た問題のデータの隠し場所を仮に接見にきた弁護士や友人に話せば警察内部にいる真犯人の手によってその問題のデータが隠滅されてしまう。 しかし山王美紀子殺しの真犯人が警察の内部の人間として目撃者である北村悠馬くんを使って山王美紀子事件の真犯人捜しをしている。
なぜ真犯人は山王美紀子を殺されなければならなかったか。 そいつは桂木涼のデータを奪うために家に侵入し山王美紀子と鉢合わせをした。 山王美紀子と面識があったか…。 山王財団は世界各国との文化交流を支援していますので山王美紀子さんはレセプションで日常的に要人のSPと接していた。 私は本部に戻って一昨日あのロビーに配備されていた警察官の中にSP出身者がいないか調べてみる。
おいJB!なんだ?「最初の約束を思い出した方がいいみたいだな」約束?私が彼に与えたスマートホンの充電が切れたら爆弾は自動的に爆発する。 まさか北村悠馬に爆弾が巻かれていたとは。 爆弾をつけた北村悠馬くんを一刻も早く人のいない場所に移動させなければなりません。 どうやってそんな事をさせるんだ?運転手の乗った発信機付きの車を路肩に停車させ悠馬くんの爆弾で運転手を追い払い車を奪わせます。 無謀にも程がある!北村悠馬の言葉どおりならあの爆弾は交番を爆破した爆弾の10倍の威力がある。
「北村悠馬の家族を保護して下さい」「JBは山王美紀子事件の目撃者の北村悠馬に爆弾を巻き真犯人の警察官を捜させている」「真犯人は悠馬を狙っている」「JBは爆弾とテロ組織に精通している」「エンベッド」全て杉下警部が考えたとおりだ。 甲斐享が大木巡査の拳銃を奪い北村悠馬とともに有明マリーナの管理棟に立てこもりました!なんだって?甲斐は銃を所持していたんじゃないのか!管理棟に人は?幸い管理棟は現在閉鎖されており屋内には甲斐享と北村悠馬だけです。
「銃を奪って地図にある建物に籠城し食事を要求せよ」そう書いてあったんだ!でチラシのあと俺たちは先回りして隠れてたの!「先ほど食事を届けに入った捜査員はまだ外に出てきておりません」「捜査員と甲斐容疑者との間にトラブルがあったなどの情報も入ってきておりません」「近所の住民はすでに避難しておりますが依然として厳重な警戒態勢が続いております」「繰り返しお伝えします」「ご覧頂いているのは拳銃を所持している甲斐容疑者と爆弾を体に巻いた少年が立てこもっている建物の現場の映像です」爆弾は爆発しませんよ!罠だったのか?君は
あなたは報道の世界に情報網を持つジャーナリスト桂木重吾に向けてわざと嘘の情報を流したんです。 そんな事をするのは桂木涼の父親桂木重吾しかいないとすぐに思いついた。 だが君が桂木重吾の事をつかんだのは甲斐享から「エンベッド」と書かれたメモを渡されたあとだ。 正木さん海外の紛争地域を取材していたジャーナリストの中でつまり君があの花見町劇場前に始まる籠城作戦を開始した時桂木重吾がJ・ボマーを騙っていたとは君は知らなかった。
桂木涼さんが取材をしていた帝国情報リサーチの長峰さんは自ら命を絶つ直前にこの新聞を読んでいました。 そのきっかけとなったのは昭一郎氏が帝国情報リサーチに依頼し長峰さんが担当した一人親家庭の親に対する意識調査でした。 この調査で一人親家庭の親たちはよりよい仕事に就くために職業技能の向上を強く希望している事がわかりその結果に基づき補助手当を引き下げる代わりに改ざんするように強要されたのではないかと僕は思っています。