ほどなく容疑者が浮かんだ萩原礼子の元助手で以前は交際相手でもあった小田悠介である目撃者が出ました。 犯行時刻頃マンションから出ていく小田悠介を住人が見ていました。 あなたの部屋にあったカーディガンに萩原礼子さんの血痕が付着していました。 水野先生というのは？カメラマンの水野久明さんです。 以前私と礼子は水野先生の下で助手を務めてた時があってその時いろいろ教わったんです。 でも水野を見たというのは小田悠介たった一人なんですよね。
水野久明とおぼしき人物が映ってるテレビ番組が昨日の朝か。 我々は急ぎ東京駅正午発の踊り子１１５号に乗り西伊豆の堂ヶ島に向かった踊り子１１５号は横浜小田原熱海などに停車伊東からは伊豆急線に入り終点の伊豆急下田駅には１４時４８分に到着する約３時間の短い旅である現在住んでいるアパートの様子から見て財産もなくしたようだな。 水野夫妻が以前住んでた家の近くの住人に聞いた情報なんですが現在西伊豆のだるま山高原レストハウスに勤めてるんだそうですよ。 水野久明ともめていたのはこのガイシャです。
今朝稲山駅前広場で発見された木下亜矢なんですが井村と関係がありました。 井村と！？木下亜矢は３２歳上野のホステスですが携帯電話を調べたところ井村と頻繁に電話をし合ってました。 じゃあ木下亜矢は井村と一緒に１１月１１日いっぱい水野を捜してで見つからなくてでも店があるんで東京へ戻ったと。 井村泰と木下亜矢です。
あの写真？カメさん確か水野も堂ヶ島のホテルで井村とそう話していた…。 こうなるとあの写真っていうのは水野がカメラマン時代に撮った写真の事なのかもしれない。 出版された水野の写真集はこれで全部です。 確かに風景写真を専門とする写真家が突然人間に興味を持った…そんな感じがしますね。 水野の交友関係仕事関係あらゆる人間関係をたどってなんとしてでも写真を見つけ出してくれ。 そういえばだいぶ前だけどすごい写真撮ったって水野君言ってたな。 見せてもらったんだけどね風景しか撮らない水野君が珍しく群像写真を撮っててね。
で佐々木さん先ほど水野に関する資料が見つかったと？いや資料ってほどのものじゃないんですがうちの奴が２年ぐらい前に下田で開かれた水野久明の写真展に行ったそうなんです。 こっち側のブースが水野久明の風景写真が展示されていてこっち側のブースは人の顔や群像写真が展示されていたとか。 だったら聞きますけどこの写真のどこに俺が礼子を殺した理由が写ってるんです？こんな写真意味ないんですよ。 写真を見せられて小田はかなり動揺してましたね。 えっ？どういう事ですか？あの写真からは小田が萩原礼子を殺害した動機は見つからない。
ああ～っ！警部ひょっとして犯人この母親の藤島圭子なんじゃないですかね？何もしないでただぼーっと見てるだけの７人に対して考えられなくはないんだがどうもしっくりこなくてね。 しかしこの写真からは小田が萩原礼子を殺す理由が見えてこない。 なんですか？藤島正伸さんでしょうか？警視庁の者ですが…ちょっとよろしいでしょうか？実はこの写真についてお伺いしたいんですが。 せっかく事故のショックから立ち直ろうとしてたのに２年前この写真を見て…。
貴様が水野か！なんでこんな写真飾った！申し訳ありません！私は…私はなんという事を！申し訳ありません…！でもあれは偶然撮れた写真じゃない。 水野は犯人じゃありません！水野は自分を戒めるためにあの写真だけはずっとＵＳＢメモリーに保存していたんです。 水野は突然訪ねてきてあの写真の事をいきなり聞いてきた萩原礼子さんに驚いたそうです。 でも彼女の部屋からは盗まれたＵＳＢは発見出来なかったと言ってました。
その間に大学生だった石野香奈子は社長になり会社を潰した木島定良は地元を離れ独身だった品田彰は結婚してアメリカに行き仕事をしている。 この写真を撮った水野久明はカメラマンを辞め家を売り離婚までした。 それをこう考えたらどうでしょう？この写真の持つ意味が変わったのではなくて写っている人間の変化が今度の事件の発端になった。 つまり萩原礼子井村泰木下亜矢はこの写真を使って石野香奈子を脅迫したんですよ。 そして石野香奈子に殺害された。 松山たちが今石野香奈子の周辺を徹底的に調べてるから何か挙がってくるかもしれない。
君はあの写真をネタに萩原礼子と２人で石野香奈子を脅迫したんだろう？そんな事よりも真犯人の水野はどうしたんですか？まだ捕まらないんですか？ぐずぐずして自殺でもされたらどうするんですか？俺の無実は誰が証明してくれるんです？金の事をつかんだと言ったら相当動揺すると思ったんだがな。
この片桐真司というのは財団の事務局長この男に似てないか？木島…。 これビンゴじゃないですか！よし静岡県警の佐々木警部補に頼んでタクシー会社を倒産させ失業中だった木島定良ですが元々は夢思いやり財団初代会長黒木定助の次男でした。 １５年前に黒木定助が亡くなり長男の黒木玄一が２代目会長に就任した際に遠縁の木島家に養子に入り名前も変わって木島交通の社長となりました。 つまり脅迫を受けていたのは石野香奈子ではなく黒木こと木島定良だった。 脅迫されたのは黒木会長。 黒木さんを３代目会長に据えた。
「はい」「私は水野久明の妻です」「妻でした」「水野が五年前に撮った本当の写真がこれです」「実はあの場所には私もいたのです」「水野は私を気遣って私の姿を切って展示したのです」「だから私はあの時起こったことを証言出来ます」「そうすれば黒木さんや財団は信用を落とすでしょう」「でもそんな事をする気はありません」「この写真も破棄します」「ですから水野を主人を返して下さい」「無事に返して下さい。