ほんの少し前までこの国に特別養子縁組という制度がある事さえ知らなかった私たち夫婦は…実の親に捨てられその小さな命を運んできた男の子の本当の親になる決心をしたこの子の母親になんかなれない。 ねっ？今度はハジメは一日中私から離れなくなったちょっとちょっと…。 「実の親にそうしてもらえなかった反動で」あの…それもまた叱っちゃいけないんでしょうか？出来ればハジメくんを赤ちゃんのように扱ってください。 全然笑わないし…ねえハジメ。 ほら明日香塾の予習やっちゃいなさいよ。
ほらハジメくん。 イタタタ…！ちょっとちょっと…！春代さん本当にもう…本当に…。 明日香行くよ。 ハジメに買わされたの。 はい出来たよハジメ。 ん？おいハジメ。 そのせりふそのまんまお父さんに返したいよね～ハジメ。 こっちはハジメをおぶってあれはお客さんだよ。 その割にニタニタ目尻下げてたけど～？いやあれは営業用というかまあこういう顔だしというか…。
でも私決して不真面目な気持ちじゃなく巧さんと真剣にお付き合いしようと思ってて…。 考えたんだけどさハジメピアノ好きだし一緒に弾いてみたら？「そしたら離れてくれるかもよ」梅田さ～ん。 一緒にピアノ弾こうか。 追川真美様からお荷物です。 もしもし追川真美の代理の者ですが。 私の誕生日とかクリスマスに一緒にいられないもんだからやたらと高いものを送ってきて…。 どうしてですか？それはあの子にピアノの才能があるって感じたからさ。 お節介かもしれないけどねピアノの調律頼んだほうがいいよ。
美奈ちゃんさハジメの事でイライラするのわかるけどさ弱音吐きたくないけど夜もろくに眠れないしでもこの子に当たるわけにいかないし…。 だから悩んでるんじゃない！萩の街が教えてくれたこと「幼心を打ち捨てて…」「伝える」という宝物吉田松陰の教え手に刻まれた技土地の恵みに感謝する心伝える伝えるこの街が大切にしてきた暮らしの形私たちのお手本です共に創る共に生きる大和ハウスグループどうしよう…電話するなら今だなでもな…誰よ？こんな時に。
そんな事ハジメにしてやれるの本物の父親しかいないもん。 いい？ハジメ。 今からハジメを産んであげるから。 よしハジメタオルかけるからな。 ハジメをちゃんと産めるようお母さん頑張るからね。 ほらおいでハジメ。 ほらハジメ大丈夫だよ。 安心して出ておいでハジメ。 私たちの前で初めてハジメが泣いたこの瞬間やっと自分をお母さんと呼ぶ事が出来たバブバブバブ～。 ハジメは赤ちゃんが成長する過程をもう一度繰り返す事で一日一日親離れしていった信ちゃん。 ハジメが…。 ハジメが立ったよハジメが。 ほらハジメ。