♪～定信の成した寛政の改革は厳しい倹約令となり女手がないというのは不便なものでございますな。 このままでは代々続いてきた日向家が断絶してしまうのですよ。 では どうすればいいのだ？おはようございます！あっ 奈津様。 奈津様 いいところへ。 でも 殿も 久しぶりに奈津様に会うて楽しかったとおっしゃったじゃないですか。 日向半兵衛は直参旗本の大番士である江戸城は西の丸を守り八日に一度は詰め所で寝泊まりして番をする役目であった春も近いのに冷えるのう。 番士の日向半兵衛でございま…。
俺を日向半兵衛と知っての狼藉か？殿 おかえりなさいませ。 白檀の香りがしたんだその辻斬りからな。 おっ… まことか？その代わり養子をお取りください。 養子だと？嫁を取らぬとなれば跡継ぎを残す道は一つ。 養子を取り あとを託すのです。 この 後藤家のご子息は元をたどれば 松平家のご家系。 そして こちらは富裕な藤原家のご子息。 持参金は なんと千両！千両でございますぞ。 しかし 跡継ぎがいなければ日向家は ついえてしまいます。 おかえりなさいませ 半兵衛様。 半兵衛様となら噂になっても構いません。
何？江戸城番士 日向半兵衛だ。 大丈夫か？番士だと？嘘をつけ！ 一緒に来い！やめろ！ハハハハハハ…！それで 何か 日向様を引っ立ててきたってのかい？相すいません。 しかし 長谷川殿も 今や立派な盗賊改の お頭になられた。 それで 日向様辻斬りの事ですが。 その前に素性だけ確かめておいても構いませんか？長谷川平蔵様だ。 ところでお主の父 相馬新右衛門は相良藩の人減らしにより浪人となったと聞くが…。 長谷川殿はお主の話を信じたわけではないぞ。
おう どうした？今 道庵先生から知らせが来ました。 竪川に子供の死体が上がったんですがそれが 道庵先生のところに忍び込んでいた子供ではないかと。 まあ！まあ～！ まあまあ！ 殿様！おう… お前は千代松！はい！御用人様もご一緒で…。 千代松が こんな立派な店の女将になっていたとは驚いたな。 その日 この道庵先生もここにいただろう？それでしたらよく覚えております。 確か あの日は道庵先生がひどく酔われていて…。 今の男の身元は？深川佐賀町のお医者様です。
みなと屋 藤松屋長島屋ですか…。 定信が退き 世直しも成ったあとで存分に斬ってやるがよい。 新たに人参を安売りしようとした商人たちが子供を殺すところまでやると思うか？お任せになられては？柴田は幕閣の中でも老中に迫る勢い。 大丈夫ですか？お一人きりになってさぞや おつらい事でしょう。 新太郎 俺の息子にならぬか？えっ？俺も一人きりでな…。 斬ったのは あの日向半兵衛という男のようで。 新太郎なら久江も許してくれよう。 番士の役目と一切の家督を新太郎に譲った半兵衛はもう十分 無欲だと思いますが…。
もはや お主は新太郎の御用人なのだからな。 本当に大丈夫なんです…？心配無用！…とは言ったものの日向半兵衛 三日も持たなかった誰か来ぬか…。 こうして 新太郎様といういいお世継ぎに恵まれてめでたく隠居なされたんでございますからね今日は 一つ どうですかな盛大に隠居祝いをしましょうよ。 気楽な隠居たちだ。 ご隠居？おお…これはこれは勝谷御用人。 佐兵衛さん！まさか ここで お会い出来るとは。 佐兵衛さん こちらは我が家の大殿と若君です。 最上屋佐兵衛と申します。 日向半兵衛でござる。 日向新太郎と申します。
佐兵衛さんとは 道楽友達で…。 金魚の事なら この相模屋さんの右に出る者は おりませんよ。 特に佐兵衛さんの らんちゅうはまず 千両を下らないでしょう。 いや お見事！えっ？金魚の事は わかりませんがわびさびを わきまえられた枯れ具合まさに ご隠居ですな。 こうして手をかけた金魚を佐兵衛さんに良いのを見繕ってもらおう。 佐兵衛さん いらっしゃいますか？留守みたいですね。 佐兵衛さん？ 佐兵衛さん！いえ もう長く隠居していたそうです。 佐兵衛さんが殺された次の日か…。
それにしても 幕閣が金魚のために人を殺すとは…。 お主たちも淡島を探っていたのだな？ご老中様もでございますか？幕府の中にも わしの事をよく思わぬ者がおっての。 敵討ち！？五味は 私の隠居友達を殺して大切な金魚を奪い淡島様に献上したのです。 まことか？お主 淡島の持つ金魚がその千両の金魚と同じかどうか確かめられるのか？それは… あっ…。 見事な金魚を持っていると聞いてな。 この者は江戸で最も金魚に詳しいと聞き目利きを頼んだのだ。 何を言う！その金魚は 我が領地である下総の池で捕らえたもの。