…という事はどこかからお金が入った?うーん… じゃないの?「大手家具メーカー矢部家具の創業者で一代で数十億の資産を築いた人物として知られる矢部泰造さんが…」数十億の資産…。 つか…つかぬ事をお伺いしますが矢部泰造…。 うわっ!郵便受けのテープはがれて名前のところ矢部泰造になってましたよ。 しかし雅夫さんはお金の事よりも矢部泰造という名前に過剰に反応していましたね。 泰造さんの応答がなく カーテンが閉まったままになっているのを不審に思って 不動産会社に連絡。
「私を殺そうとしているのは矢部家の誰かに間違いない」「だが 私には犯人を名指すことが出来ない」「誰も彼もが怪しく思えるのだ」「その夫の要は金にしか興味のない 全くの俗物」三流大学で二度も留年した頼りない奴だが気持ちは優しいところがある」「継子夫婦の娘 唯香」「これは気が強すぎるのが玉にきずだが 美人で頭もいい」警部殿 ひょっとして泰造さんは病死じゃなかったなんて考えてるんじゃないだろうな?いくら杉下さんでも 死体検案書はひっくり返せませんよ。
泰造さんの死亡推定時刻午後10時から12時の間皆さんは どちらに?私たち夫婦と… 継子はこのリビングに9時頃から12時過ぎまでいました。 はあ!?その… 私 偶然泰造さんの住んでた部屋に引っ越しまして。 ほら この人の後ろ…泰造さんは 矢部家の誰かに殺されたって言ってるんですから。 気になる事?実は 泰造さんの遺体が発見された時背中に これくらいのホコリがくっついてたんですよ。 泰造さんが入浴しようとするといつのまにか湯沸かしの温度が上がっていて湯船に熱湯が張られていた。
娘夫婦を警戒していた泰造さんがそもそも あの日なぜ 娘夫婦を部屋に入れたのか?そちらはどうでした?えっ…。 僕は 泰造さんが亡くなるまで理事長をしていた矢部財団に行ってみたんですがね。 経済的な理由で進学が困難な学生に学資の給付事業を行ったりへき地の学校に 運道具やそれから 図書を贈呈したり。 大旦那様は 若い頃から苦労をかけてきたからって大奥様のおっしゃる事は なんでもよくお聞きになる方だったんです。
それから問題の夜の大輔くんのアリバイサークル仲間に裏を取ってみたんですがねコンパの一次会が終わったのが10時半。 つまり泰造さんの妻の孝子さんも泰造さんを お父さんと呼んでいた可能性があるという事です。 そういえば泰造さんが亡くなったのは孝子さんの命日の夜でしたねぇ…。 泰造さんの死亡推定時刻は夜10時から12時。 泰造さんも最後まで頭は しっかりしてましたよ!あっ そうなんですか?ええ 達筆で文章だってそりゃ立派なもんですよ!文章?ええ!おやおや?部屋に霊がいるなんて嘘だったんですね。
手記…?ここには 認知症の初期症状を疑わせる出来事がいくつも記されています。 そこで 僕は 何者かが策を弄し泰造さんを認知症に仕立て上げようとしているのではないかと考えました。 そこで 初子さんが孝子さんのふりをして泰造さんを諭す声を録音しそれをあの部屋に仕掛けて聞かせるという計画を立てた。 計画が露見しているとも知らずあなた方は孝子さんのお墓参りにかこつけてその夜 あなた方は亡き妻の声に動転した泰造さんからすぐに来てくれと連絡が来るだろうと待機していた。
しかし 証拠をつかんで初子さんたちを糾弾しようとしていた泰造さんは後日 4人の前で録音を再生出来るようにスマホの使い方を知りたがっていたはずです。 しかし やがて諦めて入浴した泰造さんは風呂上がりにヒートショックを起こして倒れた。 大輔 お前…!あんた初めから俺を疑ってたのか?泰造さんの背中にホコリが付いていたと話した時もしかしたらと。