4時35分発 特急朝霧の個室です。 西東京駅 4時50分発の特急オリオンには2人の女が乗っていたあっ この席 この席。 しかし 12月20日の4時35分発特急朝霧の中に男が女の首を絞めているのを見たとお年寄りがおっしゃってたんですがまあ 車掌が言うには話が混乱していて少し寝ぼけていたのではないかと。 3日前 12月20日の午後4時50分西東京発の特急オリオンに私の姑が乗っていました。 姑が並んで走っていた特急朝霧の中でわかったわ。 義母は 走るオリオンの窓から殺人を目撃した。
このお屋敷の方たちみんな相当に変わってるから家政婦は長続きしないのよ。 大丈夫ですか?あっ あの辞めた家政婦から聞いてると思うけどねでは 私は これで失礼します。 トミー製菓のクリスマスケーキです。 トミー製菓の会長富沢信介の屋敷です。 あの家政婦さんは私の知人の中村彩さんです。 その中村彩さんが富沢家に行ったのは特急朝霧から消えた女の死体を捜すためですか?そうよ。
富沢家は 昭和の初めに富沢巌によって創業された富沢哲次 次男。 父の信介とは不仲だったようですが後継者の長男を失ってから信介は ますます意固地になり富沢家がバラバラになっていったという事です。 天乃さんは 富沢家に死体が隠されているのではないかと疑ってます。 知り合いのスーパー家政婦まで送り込んで富沢家を探ろうしてます。 資料は読んだが 富沢家ってのもなかなか複雑な家族だな。 女の人はやっぱり列車から富沢家の森に落とされたんですね。
どういうご用件ですか?ん? 何?「警視庁の捜査により富沢家の納屋で死体が見つかった」「えー… これからも警視庁は事件解明に全力を尽くすという事で…」つまりご自分たちの手柄だって事ですね?「うん… まあ天乃さんも警視庁の出身ですからそこのところは 一つご理解を頂きたくて…」「ああ それと 今後の捜査は警視庁と奥多摩署で進めますので汽車から死体を落として納屋まで運んでいったんだ。
12月20日 午後張美麗がホテル品川の喫茶ロビーに来たかと尋ねました。 ガイシャの指紋とこの写真の女の指紋が一致すれば簡単な話なんですが指紋照合が出来ず DNA鑑定も今のところ出来ません。 ああ… 結構前の写真らしいからよく見て お義母さん。 なんで こんな所にいるの?駄目でしょ! もう 馬鹿…!「お目にかかり兄の鋭一の思い出をお話しできることを楽しみにしております」「十二月十一日 富沢恵子」中へ入ってお茶でもどうぞ。
救急車!はい!おい しっかりしろ!志郎さん! 志郎さん!志郎は どうした?警察にいろいろ聞かれてます。 「はい わかりました」「張美麗を殺した犯人が今度は 富沢家の人間たちを狙ったという事ですか?」そんな単純に考えては駄目よ。 えっ!?昔 富沢鋭一さんとお付き合いをしていた張美麗は私なんです。 おなかに子供が出来たと知って鋭一さんとても喜んでくれたんですが…つまり 木村麗子さんだと思わせるために張美麗の名前で恵子さんに手紙を書いた。
知らぬ事とはいえ私は責任を取って主治医を辞めさせて頂きます。 私は もう 富沢家の主治医でいる資格がありません。 じゃあ哲次さんか古川さんのどちらかが犯人…?もう一人 男の人がいるわ。 だって 車椅子ですし一人で列車には乗れませんよ。 あっ でも… 佐伯先生が信介さんは 実はああ見えて頑健だからって…。 もしかして 信介さんも容疑者の一人ですか?ええ~! もうわかんないですよ。
こちら 天乃瞳子さん。 毒入りフィッシュペースト。 彼女は 殺人を犯すあなたを見たんです。 でも この事件では殺人の目撃者がいたんです。 いい加減な事を言うな!こんなばあさんの言う事など信じる人間なんかいない!それに 並んだ列車の向こうで殺人だと!?誰が信じるんだ そんな事を!それに… それに どうして私がてんで見ず知らずの女を殺そうなんて思うんです?見ず知らずの女なんかではありません。 佐伯は 自分の殺人が目撃されているなんて夢にも思わなかった。