ランチチャンネル金曜8時のドラマ ラスト・ドクター~監察医アキタの検死報告〜

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この番組のまとめ

監察医吉崎薫子です。 私たち関東監察医務院は年間14、000ものご遺体の死因を追究し声なき声に耳を澄ませます。 ここの人たちは皆独特な着眼点を持つスペシャリストばかりなのですが私の上司秋田先生を筆頭にとにかくみんな風変わりでいつも振り回されっぱなし。 おっなんか薫子ちゃん監察医っぽい。 それでも他の監察医の下につくより苦労するんだから。 急いで救急車を呼ばれましたがすでに心肺停止状態でした。 死後経過時間24時間前後です。 お父さん大丈夫ですか?それ以上邪魔しちゃいけないと思って帰りました。

臓器をみるかぎり死亡推定時刻はおよそ72時間前。 私たちは法医学的観点からご遺体をみて判断するのが仕事なんです。 阿部幸四郎の遺作にあなた方は泥を塗るつもりですか!こちら検案書になります。 え?検案書の死亡日時ってのはあくまでも書類上のことでしてね公表する必要ってないんですよ。 そのあと氷を取って遺体を環境温度に戻すと直腸温度も上昇して死亡推定時刻はごまかせます。 更に死後硬直の発現をマッサージによって遅らせるとか。

検案の死亡日時を公表する必要はないということで納得されたんじゃないんですか?これが阿部幸四郎の遺作ってことであの絵が話題になってるときにもしも死亡日時のことがマスコミに漏れたらそりゃあ騒ぎになりますよ。 実はねさっきちょっと上の某方面から阿部氏の検案書が訂正できないもんかなって打診があったんだよ。 息子の真治さんと家政婦の亜都美さんおととい先生を見たと証言してますよね。 あ~金粉なにかわかったんですか?成分は金銀銅が入ったごく一般的な金粉よ。

あの真治さんはいつ戻られますか?あっさあわかりません。 大変ですね先生が亡くなったあとまで。 私がやらないと真治さんにはわからないものもあって。 先生は創作期間中はほとんど出かけませんでしたし。 あいつは先生の愛人だって。 芸術家のなかには愛人がたくさんいてそれが創作の源になってる人もいるんでしょ。 先生はいたって堅物でしたから。 私交通事故で両親を亡くしてこの養護施設で育ちました。 阿部先生はここに慈善活動に来てくださってたんです。

あれ山内さんじゃないですか?あ~阿部先生ですかええいらっしゃいましたよ。 先生は創作期間中はほとんど出かけませんでしたし脳の組織検査どうですか?今やってる。 ええ三崎亜都美さんはこの施設で育った子です。 あの三崎亜都美さんっていう子覚えてませんか?三崎亜都…ああはいはいもうよく覚えてますよもうしょっちゅう面倒かけられましたから。 阿部さんの脳の組織検査により多発性脳梗塞の所見が認められました。

本当は先生の名誉やお金にしがみついてるだけ。 実際真治さんは先生の目が見えなくなってきていることにも全然気づいていませんでした。 2人で絵を描いているときが先生も私も本当の自分になれる時間だったんです。 先生!どうしたの?先生!亜都美か?どうしてこんなこと…。 先生の手になる絵を売ったお金のほとんどはいろいろな施設に寄付してたんです。 先生のサインが入っているだけで世間の人たちは高い値段で絵を欲しがる。 先生!先生!先生しっかり!今救急車。