富士山！富士周辺の自然や景観そして世界遺産登録に尽力した人物を取材してまわるっていうのはどうです？ダメ！ボツ！ありきたりだし。 う～ん…じゃあ他になんかあります？だからさそうやってすぐふくれるだろ？えっ…ここでそういうことしますぅ？そうじゃないよ！浮世絵！ん？んじゃねえ！その中でも北斎！『富嶽三十六景』！あの葛飾北斎がいろんな場所から見た富士を描いたっていう？そうそう。 社長茶屋先生がお見えになられました。 葛飾北斎の『富嶽三十六景』ですね。
第一発見者の方です。 第一発見者を疑うというのも捜査の常道ですな。 宿泊者名簿には鈴木美知子という名前で１泊していますが住所も名前もでたらめでした。 失礼いたします！地域課広瀬巡査部長。 どうした？もしかして…茶屋次郎先生ですか？そうですけど。 それがどんな難事件であろうとも優れた洞察力と推理力によってみごとに解決。 そしてその事件を詳細に記した推理小説がまたおもしろい！一応あれ旅行記なんですけど。
ブン屋さん？松金社長が亡くなった事件の現場に先生がいらっしゃったと小耳に挟んだものでして。 やっぱりあの事件殺人なんでしょうか？どうして政治部の記者があの事件のこと調べてらっしゃるの？普通社会部でしょう。 『富嶽三十六景』って何のことです？観光協会のイベントなんかにも必ず松金親子と藤尾親子が競うように参加して。 もしかしたら松金社長と会ってたかもしれないんですけど。 大蔵山の土地を巡って松金社長ともめていたのは事実ですがあの土地は何年も前にうちが買い上げたものです。
それにしてもなんで『富嶽三十六景』なんだ？ねぇ…。 もっと松金社長を殺す強い動機を持った人物がいるんじゃない？それを言うならあなたのお得意様の藤尾社長。 松金社長となんかもめてたらしいですよ。 県会議員で守る会の名誉会長宍戸大二郎です。 あの若い女性は？宍戸議員の一人娘美香さんです。 開発推進派の松金不動産の跡取り息子と結婚を控えている。 では宍戸会長お願いします。 え～富士の自然を守ると同時に『富嶽三十六景』…。 ではこの中で宍戸会長がお気に入りのものがあれば教えてください。
あなたが藤尾社長と最後に会ったのはいつですか？昨日の３時くらいに会社で見かけました。 『富嶽三十六景』の『甲州三坂水面』ですよ。 こちらこそ明日の予定のことで少し話をしましたが黒川記者を待たせていたので私はすぐにタクシーに戻りました。 黒川記者とは親しいんですか？えぇ実は大学時代の同級生なんです。 あの夜香坂さんと一緒に藤尾社長を自宅まで送っていきましたよね。 そのとき彼何分くらいでタクシーのところへ戻ってきました？『富嶽三十六景』がどうしたとかどういうことです？協力したんだから教えてくださいよ。
殺害された松金耕一さんと藤尾泰三さんはいずれも『富嶽三十六景』の絵を握って死んでおり２枚の絵にはそれぞれ遺体が発見された場所の景色が描かれていました。 藤尾社長が殺された現場の状況からあの夜藤尾社長には来客があったと我々は見ています。 藤尾社長はその来客とガウンを着たまま一緒にウイスキーを飲んでいました。 でもそれが何か？それを知ったあなたは藤尾社長への恨みを募らせてあの日の午後２時半から３時半あの…あなたどこにいらっしゃいました？私のアリバイを尋ねていらっしゃるんですね。
はい松金社長の事件も藤尾社長の事件も彼が関わってた可能性があるんですよね。 これでもまだ香坂が犯人だと？松金耕一藤尾泰三に続いて『富嶽三十六景』の絵を握って死んでいた。 あのその被害者が握ってた絵っていうのをあの遺体の発見場所なんですが教えていただけませんかね？死後硬直の状態からみて死亡推定時刻はおそらく昨夜の１０時から１２時の間かと。 むしろ赤ちゃんを産んで彼に顔を見せれば松金社長からあの場所に呼び出されたんです。
だから彼女が松金社長を殺したんだとするとここからあそこまで戻るのにたった７分しかないんですがね。 しかしなぜ香坂が松金社長と待ち合わせを？あんな場所で２人で会おうってんですから密談でしょう。 藤尾開発の乗っ取りの件で香坂は松金社長の力を借りたいとでも思ったんでしょう。 香坂が松金社長と？乗っ取りを企んでた香坂にとってみれば常々藤尾社長が邪魔だった。 そこであそこで松金社長と３時に会う約束をして…。 ところが偶然にも松金社長の遺体を発見してしまった。
なぁ知ってるか？宍戸大二郎と松金不動産の関係。 許してくれ！富嶽三十六景連続殺人事件。 なに？松金不動産と先生の関係を示す資料がすべてここに入ってました。 しかし死亡推定時刻の夜１０時から１２時の間に香坂が現れた事実はなく宍戸先生あなたも外出されなかった。 お嬢さんと松金智也の婚約を破棄してお嬢さんが私と結婚するように仕向けてもらいましょうか。 私ねホントは松金智也みたいなお坊ちゃんと結婚なんかしたくないの。 お父さんがテレビカメラに向かってこの『甲州石班沢』の絵のことを話していたのを。