年頃になったお小夜を両親はよいところに嫁がせたいと願い氏神様に頼みに来たところでした。 いいからお小夜も氏神様にお願いしなさい。 お~いこっちは準備万端じゃ嫁はまだか?お小夜さんを乗せたかごは今茶店で休んでるそうだ。 お小夜殿ようまいった。 お小夜殿!突然かごから牛が飛び出したと思ったら座敷に上がりこみ家中を走り回りました。 お小夜殿いったい…。 両親は今回のことを反省し「お小夜の選んだ人ならば」と快く若侍との結婚を許しました。 どうしてお小夜殿が牛になってしまったんじゃ。
あの花嫁は人間だった頃のお小夜殿によう似とるなぁ。 ここ貧乏長屋に魚屋の金さんが夫婦で暮らしていました。 今朝早く魚河岸に行ったんですが…。 ご五十両!でっけぇ声出すんじゃねえ!だだってお前さんいくらお金に困ってるからって何も盗みに入るこたぁ…。 誰が盗みに入ったって?人の話をよく聞きやがれ!朝早くおめぇにたたき起こされてよ魚河岸に行ったじゃねぇか。 何言ってんだよ何だい五十両って。 へっ今朝おれが芝の浜で拾った五十両があるじゃねぇか。 この財布に見覚えがないかい?え?革の財布だなぁ。
あのままだったらあっという間に五十両使い果たしていたことだろう。 空き寺に妖怪が住みついて夜になると騒ぎだし村の人たちがたいへん恐れているといううわさを聞きました。 ふむその妖怪とやらを私が退治してあげましょう。 こんなうめえのは初めて食った!「一ぎちょ二ぎちょ」「三ぎちょ四ぎちょ」妖怪たちは音頭をとりながら踊りだしました。 お坊さんは妖怪たちと一緒になって夜が明けるまで楽しく踊りつづけました。 お礼?明日隣村の名主の家で葬式があります。