どうしてよ!契約時にお客様から提出された医師の診断書にはご主人ががんであることは記載されていませんでした。 生命保険には不正がつきものだ。 保険調査員は各保険会社にいて不正な契約を避けるためにお互い情報を共有し絶えず目を光らせているまったくあの奥さんうちだけじゃなくておたくらのとこにも入ってたとはな。 半年前2、000万円の生命保険に加入している。 父は保険嫌いで生命保険を勧められても死んだときの話なんて縁起でもないっていつも断っていましたから。
今回の案件で保険金の支払い義務が消失するのはまず自殺。 あるいは受取人が故意に被保険者を殺害した場合。 つまり犯人が小梶鮎子以外の誰であったにせよ事故だったにせよ保険金は支払わなければならないってことですね。 なぜ今まで一度も保険に入ったことがなかった小梶さんが突然一度に5社も相手に生命保険の契約をする気になったのか。 佐伯さんは小梶に成り済ました誰かが本人の知らない間に保険を掛けたというんですか?その可能性はあるんじゃないかしら。 誰かが小梶さんの名前で保険契約をしたという可能性もあるんです。
刑事部長!お話があります刑事部長当然新田の行動は上の命令は絶対の警察組織には疎んじられ高良井には新田を守りきれなかった負い目があるんだろうな。 小梶さんと鮎子さんの親子関係はどうだったんでしょう?鮎子様は7歳のときにこちらに来られたんですけども旦那様はもうそれはたいへんなかわいがりようで。 裕一郎様はお出になりました。 裕一郎さんは小梶さんと一緒に生活してなかったんですか?はい堅実で生真面目な性格の旦那様は裕一郎様の仕事をお認めにならずいつもケンカが絶えなかったんです。
小梶にカネの無心に来ていた国分久を警察で当たってみました。 半年前時々こちらに来ていた国分久というのはこの男でしょうか?はいこの人に間違いありません仕事が早いわね。 先日亡くなられた小梶美智雄さんのことで少しお話を伺いたいのですが。 いずれにしても国分は小梶美智雄鮎子と両方の事件に関係がありそうだ。 でも詐欺で服役までしていた男とどうして大手銀行の重役だった小梶さんが知り合ったんでしょう。 どちらの銀行ですか?城東銀行だよ。 城東銀行?的中だ!初音ちゃんの勘。
25年前小梶と国分はこの逗子にいた。 カネに困っていた国分が25年前の知り合いだった小梶にカネの無心に行った。 城東銀行の常務まで昇り詰めた小梶さんならきっとなんとかしてくれると思ったのかもしれない。 小梶美智雄の案件は犯人の自殺で幕引きなんだってな。 とはどういう意味だ?え?課長!報告書少し待ってください!は?この文章が別の意味にとれるっていうのか?一見遺書のようですけど命を絶つとか小梶を殺したとか明確な記述はどこにもありません。
そんなこともあってか幼い頃の裕一郎は鮎子の母親より美子になついていたそうなんだ。 仮に裕一郎が小梶美智雄を殺しその罪をきせるために国分を殺したとしたら彼のアリバイはどちらも明確じゃない…。 何度も小梶邸にカネの無心に来た国分を裕一郎が仲間に引き入れた…。 そして崖に誘導して裕一郎は遺産だけでは満足せず鮎子さんが受け取るはずの保険金も手に入れようとした。 鮎子さんが亡くなれば保険金は鮎子さんの遺産として兄の裕一郎が手にすることになる。 鮎子さんはどうなるんでしょう?裕一郎は明確な殺意を持って襲ってるからな。
佐伯さんは小梶を突き落としたのは国分じゃないと考えてるんですか?ねぇ新田君。 あの時崖の上で国分以外の人影を見た?えっ?国分が海に落ちたとき…。 あなたは屋上の縁に向かうように小梶さんに仕向けたんじゃないんですか?そして転落直後国分がそのピアノ線を回収した。 お父さんも詐欺に遭ったのではありませんか?お父さんに融資したのは城東銀行逗子支店。 当時貸し付けを担当していたのが営業課長だった小梶美智雄です。 小梶と国分は共謀してあなたの実のお父さんを罠にかけた。
やるの?やんないの?答えるまでもないだろ国分は保険金の分け前をチラつかせたらすぐに乗ってきた。 突き落としたのをパーカーの男だと証言すれば当然警察は国分をマークする。 そしたら国分が容疑者だっていうじゃないか。 国分が親父を殺したって一銭の得にもなりゃしないもんな。 今度は兄を利用して国分を殺そうと考えた。 兄は国分殺しの容疑が自分に向けられて相当焦ったようだった。