放火捜査課のスティーブンスだ。 放火の専門家か?数学者なんだ。 放火の捜査に数学はつきものだ。 燃焼研究の基本にあるのは流体力学なんだよ。 それらの特徴から放火犯の手口を探るんだ。 どこから捜査すればいい?現場の痕跡から放火犯を特定するのは影から人を特定するようなもんだ。 ELMはコロラドのスキー場も燃やしたんです。 放火の捜査に必要なデータは7種類ある。 燃料燃焼率焦げ跡煙のパターン。 ねぇもしかして放火犯の動機はもっともだって言いたいのかい?いやいやいやそうじゃない。
放火の犯人によってアプローチが異なるんだとすれば当然それぞれの火事には…。 ただ放火の手口だけじゃなくて火事全体の性格という点においてもだ。 でも一連の放火事件には一切関与してません。 今何年かわかってる?火事はうちを陥れる陰謀よ!ということはFBIの仕業じゃないの?誰かがELMになすりつけてる可能性はあるな。 ELMのメンバーは9割が大学生そして白人の男性なのよ。 そう?2件の放火現場にいるあなたがローカルニュースにバッチリ映ってたわよ。
今はこの放火犯の特徴をつかむために主成分分析をやってるところだ。 熱発生率や時間気象を考慮してる。 僕は熱吸収や燃料の燃焼率ああそれから発火時の風速を計算してるんだよ。 ロサンゼルス郡でこの1年に起きた放火事件の記録を全部見せてもらえるかな?何千件にもなるぞ。 バックドラフトの再現なんて実にワクワクする。 火災現場の記録によると壁には断熱材天井は可燃性。 別名バックドラフト。 さてスティーブンスによると犯人は火種を燃えるものの近くイスのクッションか何かに挟んだらしい。
ごくわずかな量だったらすぐに蒸発してしまうタイプの促進物もあるだろ?例えば過酸化水素とか。 過去に起きた5、000件の放火事件を定量化するために600の変数を入力して放火の特徴と犯人の関連性をデータベース化してるんだ。 次の変数は?あ~パイロット点火の温度だね。 パイロット点火って?外部からの火によって燃え出すタイプの火災のこと。 今調べてる事件にもそのパイロット云々ってことが関わってくるのかい?車が燃えたのはガソリンに火がついたからだ。
いい?これがあのSUVの店で起きた車のほうはELMによる今までの3件とそっくりだった。 つまりだ放火犯が2人。 5年も前?しかもすべて環境保護とは無関係でELMともまったくつながりがない。 放火だまたELM。 上で何があったの?消防士が6階に上がったところでフラッシュオーバーに巻き込まれて6人やられた。 フラッシュオーバー?一瞬ですべてが燃え上がる。 ビルじゃなくて消防士を狙った放火なのよ。
ねぇ父さんは消火システムに詳しいよね?立管やスプリンクラー。 つまり消火栓から6階にいる消防士たちに届く水が誰も気づかないうちに減っていく。 ねぇ父さんビルの立管の仕組みを理解してるのは誰?建設や水道のプロ消防士エンジニア。 立管に細工をして消防士たちが気づかないギリギリのところまで水を減らしたんだよ。 警備ブースの火事もまず消防士が来ることを想定したはずだ。 今回の高層ビルも消防士がターゲットだった。 つまりこの放火犯は消防士を狙ってるんだよ。 今も6人の消防士が病院のベッドで生死の境をさまよってる。