急げ急げ急げ！お前ら急げ！五右衛門が…。 かたや長く続いた戦で町は荒れ果て食べ物も乏しく人々の不満は高まっていくばかり傾き抜いて思うがままに駆け抜けた男石川五右衛門であるなんと…。 はぁ？夜左衛門一座はこの奥山道場の主奥山公継が町角で腹痛に苦しんでいるところを助けたのが縁で居候を許されていたどちらにお出かけでございますか？拙者が仕える所司代の前田様に呼ばれて関白様のお屋敷にまいらねばならぬ。 このところ武家のみならず公家屋敷までも石川五右衛門なる盗賊が目をつけ金品は盗まれているそうな。
石田三成様でございます。 都はもとより近隣諸国より集めた職人どもを不眠不休で働かせてまいったというにここでまた十日も休まずになどと。 何が？関白様が家臣に命じて女衒のような真似をしているとの評判でも立てば…。 夜左衛門一座の大道芸楽しんでいってくんな。 五郎市。 持ってけ泥棒！大盤振る舞いだい！五郎市よかったね。 五郎市それは十日前の。 よかったね五郎市。 小雀着物持ってこい。 五年前茶々の母お市の方は秀吉に攻め込まれ夫の柴田勝家とともに越前北ノ庄城にて自害した。 五郎市飯は終わりかい？おかわり。
関白様のおなりでございます。 なんと関白様が…。 関白様前田殿においてはやることなすことすべて間違いございません。 天下の大泥棒石川五右衛門よ。 かかれ！追え五右衛門を逃がすな！はっ。 もったいのうございます関白様。 名は何という？はっここにおります奥山公継が娘奈々にございます。 関白様この奥山は私前田の配下で新陰流の道場を営みこの奈々は父親に代わり代稽古も務める腕前。 それにつけても五右衛門とか申す輩許さん。 石川五右衛門はこの石田三成が必ず。
仕事もうちの一座で下働きを…。 こたび関白様の命により人別を改め無宿者が都をうろつくのを禁じておる。 小雀さん五郎市を！あっ！五郎市を！くそっ！おりつさん。 無宿人狩りたぁ裏がありそうだな。 このままじゃ五郎市が。 その大荷物は何じゃ？大道芸の小道具に衣装でごぜぇやす。 俺たちはさ関白様に頼まれて来たんだ。 よっうわっ！関白様のおなりでございます。 我ら夜左衛門一座心を込めて芸をご披露させていただきます。 はっほっほっ！あぁたぁ！おのれ関白様に向かって！何をいたす！無礼な！三成。
何奴じゃ？今洛中を騒がす天下御免の大泥棒石川五右衛門。 何奴！お～！おのれが石川五右衛門か？逃がさん。 五右衛門はこの石田三成が成敗いたす。 おい…ええ？はっ！でもなぜ私たちを？五右衛門一家は弱い者の味方なんでね。 博打の種銭欲しさにちょろまかすなよ？ば馬鹿言ってんじゃねえ！三成様ご免！あばよ。 金箔が…五重塔の金箔が。 まだまだあるぞ金箔花火は！今宵は大漁じゃ！おのれ逃がすな！矢を射よ射落とせ！え～い何をしておる逃がすな！玄以もうよい。 石川五右衛門か。