そして今日の『午後のロードショー』は「リターンズ」につながる…八代将軍徳川吉宗様の時代。 大行列を組んで江戸に出仕させた参勤交代は全国の大名家にとって苦行でした妻子を江戸屋敷に住まわせいわば人質にされました。 しかしこたびの参勤交代で我が藩の蓄えもつきました。
江戸まで六十里大名行列で練り歩き一日十里以上進むなどとでもとでも…。 無理難題をふっかけてお取り潰しにし勢力争いの費えにするつもりであろう。 お待ちくだされ！何ゆえ咎のない我らが賂などせねばならぬのですか！いっそ無理でも参勤し直訴してくれる！んだんだ！んだんだ！お待ちください！御公儀に逆らうなどもってのほか！なんだど！御老中は降参しろと暗に言うておられるのだ。 先の参勤で上様に大根の漬物を献上したあの貧乏大名な帰ったばっかりですぐに出府せよと命ぜられさぞ肝を潰しておろう。
おぬしは曲者ではねえというのか？拙者は戸隠流の忍雲隠段蔵。 おぬしが案内すれば間に合うのか？東国は戸隠流の庭のようなもの。 おぉ！しめて百四十両で済むではねえが！なったな相馬！お待ちくだされ。 案内役の段蔵だど。 二十五人で精一杯でがんした。 なに！？半分でねえが！あのう…拙者次の取手宿の段取りがありますゆえ失礼つかまつる。 かつて楠木正成公はかがしを軍に見立でだものよ。 では！続け！おお！足元のつる草をよく見極めよ！段蔵！速すぎんでねえか？十分に手加減しております。
わしは雲隠段蔵。 噂くらいは聞いたことがあろう？雲隠というと戸隠流の抜け忍の？かつては東国一と言われたあの男か？争いは無用。 ならば民を愚弄する者が政をなし田舎の小藩を好き勝手してもよいど申すか？殿何故拙者などを一行に加えたのです？まあたまにはおぬしもはめをはずしてもよいがのう。 ああ？待て入ってはならぬ！あっ！菊千代様！菊千代様！菊千代様！狼だ！狼！狼！助けてくれ段蔵殿！何をしてんだお前！早く！後ろ来てるから！助けて！助けてくれ～！！早く来いっての！ここじゃな。
あぁ大丈夫…あぁよしよしよし。 大丈夫だから。 殿様だ紀伊國屋文左衛門だっていってもね同じ人間なんだよ。 なのに威張りかえって貧乏人を下人扱いしやがるんだ。 俺は天涯孤独の身。 大丈夫か？ご家老がいねえぞ？え！？神隠しが？いやきっと川ではぐれたのでしょう。 待で！何やってんだいあんた！早く逃げて！ああっ！何をしていんだ！早ぐしろ！無理です！気合いがあれば大丈夫だ！くそっ間に合わねえ。 うわ！来ないでください！待で！来ないで！悪霊退散！いてえ。
やありは！大名行列だ！ご家老行列が。 行列があちらに。 おお下がり藤の紋所湯長谷藩ですな。 してそれはどごの大名だ？それが仙台藩伊達吉村様の行列にございます！え～っ。 何だど！？六十五万石ではねえが！ご家老行列の前を行がぬど日が暮れてしまいます。 ご家老お知恵を拝借。 ご家老早ぐ！行列が来ます！うまぐいったな！かなり怪しがったはずですが。 飛脚と産婆は行列の前を通ってもよいという定めだ。 そごに気づぐどはさすがご家老！江戸に急ぐべ！はっ。
田舎者どもを斬って捨てい！秋山！秋山！秋山！あ～！秋山無茶するな！拙者とてたまにははめをはずすんだ！拙者にかまわず先を行ってくんちぇえ！段蔵殿！早ぐ行げ。 湯長谷藩ただ今参上いたしました。 湯長谷藩に咎がなかった以上責めを負わねばならん。 下がれ！田舎大名ごときに天下の御政道の何がわかる。 お？お？内藤様誰だいこの人？ばか者！殿様だ紀伊國屋文左衛門だっていってもなのに威張りかえっていつもこっちを見下してやがるんだ。 今更ながら参勤交代のおかげで長く戦が起きなかったのも事実です。