今お母さんの遺体は葬儀の手はずが決まるまでシーダー・ハイツ葬儀所に仮安置されている。 第一親父がちゃんと自分たちのための墓地も買ってあったじゃないか。 だって火葬にしてほしいんなら親父に自分の分の墓地を買わせるはずないだろう。 え~?ウソでしょう?これ確かに全部母が書いたものなんでしょうね?もちろんルーシー・ディレイニー夫人が立ち会ってきちんと公証したものだ。
何だ?自分の遺体は火葬にして灰はローズマン橋から撒いてほしいって。 この短い人生をどんな気持で生きたのか愛する子供たちに自分がどんな人間だったかを知られないまま死んでいくのはとても悲しいことですものね。 母親というのは子供を無条件で愛せるけれどなぜか子供の側は同じようにはいかないようですね。 よかったら案内しましょうか?生まれたのもワシントンなの?ええ20代半ばまでワシントンにいてそれからシカゴへ移って結婚。 仕事でギリシャへ行ったときにバリを通ってブリンディジで船に乗るというコースだった。
違うってなぜ?イタリアからアイオワというのは大きな変化だ。 アイオワのことなんか何も知らずに。 冷蔵庫にフィルム入れといていいかな。 ジャーナリストを長くやっているせいでどうしても創造的なものを避けるクセがあってね。 僕には写真作りが似合ってる。 ねぇ今までいちばん感動した所ってどこ?世界を回ってて。 弱肉強食の世界で善だの悪だののルールもない。 あれはまさに…傍観者のパラダイスだな。 フランチェスカ…。 すてき?人の女房を寝取ろうとした男だぞ!そんな言い方やめて!第一不倫するのが悪い男とはかぎらないわ。
世界中に友達がいるし会いたくなったときは自由に会いに行ける。 だからディレイニーさんがルーシーと浮気をしたときも町中の噂が広がって。 だから僕のような人間には一様にレッテルを貼る。 テレビや洗濯機のある家を持たず一人寂しくさまよい歩く哀れで風変わりな男。 でもあなたはいかにも私が単純で鈍感な女だと言わんばかりにわざわざ難しい質問を繰り返してたのよ。 夕食にブランデー。 ジョンソンです。 ジョンソンです。 イェイツの詩を引用したね?ポケットに入れてすぐには読まなかったんだ。
ジョンソンです。 僕は他人の反応にあまり神経を使わないタチだからそのためにあなたの立場が悪くなっては申し訳ない。 ジーナ・ロロブリジーダみたいに。 ふん…じゃあお夕飯は30分後ね?ふん?ほんの何分か前まで彼が使っていたこのバスタブ。 私にはそれがとてもエロチックに思えました。 ロバート・キンケイドのすべてを私はエロチックに感じはじめていたのですああこんばんはマッジええ。 どこかのカメラマンだとかって。 はぁ…地球の反対側にある国。 イタリアとか?途中下車したときのあの話聞かせて。
ヒレクレスト通りのディレイニーさん覚えてるだろ?えぇ。 ディレイニーさんの奥さんってのはどうやら不感症だったそうだ。 一つどうしても聞いておきたいことがあるんだけどいい?なに?世界中にいる女のお友達のことはどうしてるの?たまには会いに行くとかそれとも忘れちゃうとか。 経験豊富で立派な人間じゃないから。 もっと卵食べる?それとも最後に床でセックスする?僕がどんな…どんな人間だろうとそれを謝るつもりはない。 安心しなさい!あなたは自分の世界を生きてるんだもの。
なのに明日僕はここを出ていかなきゃならない。 でもキャロリンはまだ16歳よ。 これは他の人間は一生かかっても経験できないような恋だ。 明日家の人たちが帰ってくれば気持ちが変わるということだってあるだろ。 どうしてた?それから2日ほどが過ぎロバートへの想いは日々の仕事によって少しずつ紛れあの4日間から次第に私を遠ざけていってくれました。 なぜ行けないのかわかってちょうだいなぜ行くべきかもう一度言ってちょうだい。 収穫情報です。