それに引き換え弟の治三郎は正直者で 親思いその上 気立てが優しくて男前というんですからその治三郎が二十歳になりました時に借金で 人手に渡った田地田畑をなんとか 受け返そうと江戸に出て 日本橋大伝馬町「いや~ありがてえこんでごぜえます」。 「へっ? ヤッ だ 旦那様よ全部で 金が ご 50両?他所様の土地まで買えますだ」。
治三郎は その火縄を クルクル クルクル振り回しながら 山を下り始めた。 後ろ姿を見送っておりました女房の お縫かくては 果てじと 戸を閉め元の座に引き返せば夫の捨丸は 鉄砲に 弾を込め火縄に 火を点じるとやおら 立ち上がろうとする気配。 今 捨丸が火縄に 狙いをつけようと闇に透かしてこう ジ~ッと 見たんですが火縄が見えない。 こりゃ 見えない訳で治三郎は 捨丸に言われたとおり火縄を振り回して歩いていた時に火縄が消えてしまいました。
な な 南無妙法蓮華経また 江戸に引き返しまして佐野屋市右衛門方を訪ねるとびっくりしたのは主の市右衛門です。 「まぁ 国には金が無えと 帰れませんから新規巻き直しでボチボチ 始めますんで旦那様 またよろしく お頼申しますだ」。 山 下りたらうっちゃるべえと思ったが旦那様の所へ持ってくれば薪割りぐらいには使えるかと思いましてなあ~ 引きずってきやした」。 あ~ 駄目ですか?それなら ギリギリのところで旦那様 150両」。