日本の話芸 落語「口入屋」

戻る
【スポンサーリンク】

この番組のまとめ

世話をしてくれたという事でございましてで 船場辺の商家というのは大体が いわゆる 男性の従業員でございましてね丁稚さん 手代さん 番頭さんほとんど 男性でございますが紅一点はと申しますと女子衆さんいわゆる 女中さんという訳でございますね。 ですから「新しい女子衆さんが 今日 来る」なんという日はね「どんな女の子が来るのかな?かわいい子が来たら ええのにな」なんてね ウキウキ ドキドキというそういう気持ちが お店に広がったりする訳でございますが。

今日 女子衆 来るの分かってはってんけどな~剃っときゃよかったが今更 しかたがないか。 女子衆さんお尻が冷えたら どもならん当ててもらいたい。 奥へ通ってもらわんならんのを店の端で 番頭が止めたりしてえらい おかしな具合やなと思てやろうけども 家はな上というたら 旦那さんとご寮さんの2人っきりで一切は 店を預かる この番頭の私が仕切らせてもうてますのでなあとの喧嘩先に しとかんならんというのが家は 誠に お給金が安い。 なんじゃで この間もな丹波の園部からなおもよどんっちゅう女子衆さんが来てたんじゃ。

本来ならば もう少々 入れてもらわないかんねけれどもそこは 朋輩のよしみ嫌な顔をせずに 『よし よし』『10銭入り』 『5銭入り』『3銭入り』 『2銭入り』『1銭入り』7~8遍も入った頃に帳面のほうは 筆の先でドガチャガ ドガチャガドガチャガ ドガチャガ」。

「まあ~ ご寮さん私 お針の事を申されますと穴があったら 入りたいように思うんどす 亡くなりました母にほんの 手ほどきを受けただけでございますので ただ もう単衣物が 一とおり合わせが 一とおり綿入れ 一とおり 羽織に袴襦袢 十徳 被布コートトンビに マント手甲脚絆 甲掛け その他針のかかる物でございましたら綱抜きから 雪駄の裏皮畳の表替え 蝙蝠傘の修繕」。

『ちょっと 事情があって』?『今晩から泊まる』?『あの女子衆が』?『家の2階に』? 寝起きをする。 今日は もう 店 早終い 店片づけて 表 掃除せえ」。 今日は 女子衆目見えにつき めでたい。 女子衆目見え記念っちゅうやっちゃ めでたいさかいな今日は もう 店 早終い店 片づけて 表 掃除せえ」。

「ホイホイ 神さんなぶりもんやな~ ええ?油の都合で お灯し上げんのかいな。 「まだ 御飯 食べてぇしまへんで御飯」。 「御飯が まだです 御飯御飯 食べさせてとくんなはれ御飯。 グアン グアン グアングアン グアン グアン グアン グアン」。 「御飯 御飯て 嫌らしいな~。 御飯ぐらい食べさせとくんなはれ」。 明日 できる事 明日 しなはれな。 「いや ちょっと 算盤の稽古を」。 「算盤の稽古?この極道者」。 「算盤の稽古して極道 言われたん 初めて」。

一番初めに 目 覚ましましたんが二番番頭の杢兵衛。 その時分 船場辺の商家には奉公人が使います箱膳お膳でございますな これを直しておきます膳棚という大きな棚があった訳でございます 膳棚。 ですから 台所へ回って膳棚 足掛かりに薪山へ潜り込んで2階へ抜けようというんでね足掛かりにしようというので膳棚へ グッと こう力を入れたんですが 拍子の悪いこの膳棚を支えてました腕木でございますこれが ちょっと 腐りかかってた。