♪～「芝で生まれて 神田で育ち玉川の上水で 産湯を使った」というようなもう 折り紙付きの江戸っ子はほとんど いないそうです。 我々 噺家のほうにも江戸っ子という者がほとんど いなくなりました。 かく申す私も江戸っ子じゃございませんでね親父は代々 東京なんでございますがおふくろが埼玉でございますからいわゆる ハーフでございますね。 この江戸っ子というのがこの江戸っ子なんというのは強情っ張り意地っ張りなんという連中が多かったそうですね。
いや その金が無いってぇとね今日中に私のね男が もう 立たねえんですよ。 駄目だよ。 無理な事を言ってね昔から 『無い袖 振れない』てぇ事を言うだろ？ うん。 だって お前 何だろ？今 聞いてれば今日中に その お金が無いとお前の男が下がるとか何とかいうんだろ？私だってね この町内じゃ強情っ張りだ 意地っ張りだって言われてんですからね。 「何だな 私が 借金取りに遭ってるようだよ」。 まぁ自分の胆に決めた訳ですよ。
ええ？ あの人も この町内じゃ強情っ張りだ 意地っ張りだって言われてるけれどもねやっぱり俺には かなわねえな～。 人間というものはね一押し 二押し 三に押し押して押して 押しまくらなくちゃいけねえからな。 ご無沙汰ばかりしておりまして」。 無沙汰は互いだよ。 「フフフハハ 図星ですよ。 これ もう一遍な 向こうへ持ってって 返しといで」。 そこにな 木剣があったろ？それ 持ってこい」。 「この野郎 一遍 張り倒して…」。 何だい 強情な隠居だね～。
冗談 言っちゃいけないよ。 ええ？私はね お前さんの心持ちがあまりにも立派だからそれへ 方々 頭を下げて七所回りして頭を下げて この お金をこしらえてきたんだ。 「冗談 言っちゃいけないよ。 第一その隠居だって そうだろ？せっかく持ってきたものを受け取らない。 ええ？いいから もう一遍向こうへ行って 返しといでよ」。 第一 八っつぁんあなたが良くないでしょ？『脇から 無理やり 借りてきた』なんてぇから向こうで 受け取らないんですよ。 「冗談 言っちゃいけませんよおかみさん。
『何で そう お父っつぁん大人気ない真似をして』てんでなさんざん油を搾られたところだよ。 実は これ何ですよ 無尽に入ってましてねその無尽に当たったんですね」。 いくらの無尽だ？」。 いくらの無尽…。 借りなんぞあるけえ コンチクショウ」。 それを 今日は晦日でしょ？返さねえとなるとね自分の心持ちに 嘘をついたような事になりますからそれが 私は もう耐えられねえもんですからねまぁ こうやって持って上がったんですよ。