日本の話芸 落語「野ざらし」

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この番組のまとめ

しかし これで 話は変わりますが近頃は 由緒ある町名をですから 昔は稲荷町には 我々の大先輩で林家彦六という師匠がいらっしゃいましたがね舞台に こう 出て参りますと「待ってました稲荷町」なんてんでええ粋が良かったんですな。 「待ってました 東上野三丁目」なんてんじゃねどうも気合いが入りませんけれども。 それと 同じようでありまして雷門から 北へ向かいまして南千住へ参りますちょっと 手前に 昔は新町と書いて 新町という場所がございました。 この新町には 大変 どうも太鼓屋さんが多かったんだそうですな。

しかしな 昨晩のあの一件を話すとなるとこりゃ ちょいと話が陰気になるがな」。 まぁ 昨日も昨日とて釣り竿を肩に向島の土手まで出てみたらな間日とでも言おうか雑魚の子一匹 掛からない。 このような日は 天が『殺生してはいかん』という戒めでもあろうかと日も 西山に傾いたで釣り竿に糸を巻きつけているとな金龍山浅草寺で打ち出す暮れ六ツの鐘が陰に籠もって ものすごくゴ~ンと 鳴ったな」。 四方の山々 雪 解けかけて水嵩 勝る 大川の上げ潮 水波ザブ~リ ザブリと 岸辺を洗う波の音ものすごいな」。

「分からない人だね人骨野ざらしがあった」。 「人骨野ざらしだよ」。 「あ~あ〜 人骨野ざらしね。 人骨野ざらしかな~んだ そうか。 で 人骨野ざらしってぇのは何です?」。 『生者必滅 会者定離頓証菩提 南無阿弥陀仏南無弥陀仏』と 三遍の回向。 真夜中 するとねまたまた金龍山浅草寺が打ち出す鐘。 お前はんが そこで『陰に』ってぇと そのあと必ず 籠もるから もう そろそろ籠もるんじゃねえかと思ってこっちは 口 開いて待ってたんだ チクショウメ。

♪「へ~えぇ 鐘を ゴンゴンカンカン 叩いて 仏になるならば」♪「時計屋の周りは軒並み 仏にぃ~」♪「なるであろチャカランチャン スチャラカチャンと」♪「チャカランチャン スッチャンチャンと」「どこか 行こうか?」。 『はてね?向島に 親戚 知人は無しさては 昼間 回向してやったるがかえって 害となり『あの 尾形のね 旦那ってぇのは今では ああやって尾羽打ち枯らしちゃってるけれどあれでも 元はぞくだった』なんて お前はんぞくだったんだってね?」。

話半分に聞きますと途中 馬道へ寄りましていくらかの酒を腰に ぶら下げるてぇと向島の土手へやって参りましたがもう 釣りの お好きな ご連中土手下では ズラ~ッと太公望を決めておりまして。 お前なんざ ハゼなんぞを釣る柄じゃねえぞ チクショウメ。 ♪「チャカランチャン スチャラカチャンと」「ウワ~イ」。 ♪「鐘が ゴ~ンと 鳴りゃさてんだ」♪「上げ潮 水波さ」♪「カラスが パッと 出りゃコラサノサ~エ」♪「骨がある サイサイサイと」♪「ハッ スチャラカチャンときたスチャラカチャン」「おい。

♪「そのまた 骨にとさ酒をば かけりゃさ」♪「骨が べべ 着て コリャサノサ」♪「礼に来る サイサイサイと」やっぱり こっちは27~28から 30凸凹。 どんなのが出てくるんだろうな? ええ?粋な駒下駄を 素足で履いてカラコン カラコン カラコン カラコンなんてやって来るだろうね。 『で お前さんてさ 男だから月のうち 一晩 二晩 家空けるのは構わないけれども我慢してやるけど 毎晩 毎晩空けたら 私ゃ 承知しないよ。 ウ~ン 頼まねえや〜い チクショウメ。

オオ~ッ 慌てて まあ〜 弁当箱忘れていきやがったな。 これは なんだよね ええ?焼き豆腐の煮つけにこっちは何だ? あっ 油揚げだ。 この おかずからするてえとあいつは あんまり 近所の奴じゃないね 豆腐の奴だな。 どういう焼き豆腐だかひとつ 頂こうじゃねえか アハハ。 あっ そうか 今日はね カラスが何かでね 急用ができてどれが 年増の骨だか分からねえな。 ね?『野をおやす骨を叩いて お伊勢さん神楽が お好きでトッピキピノピ』ときやがった。