日本の話芸 落語「崇徳院」

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この番組のまとめ

♪~まぁ 医学の発達 一進一退ございますんでしょうが「すみません 診てやって下さい。 で 本来ですと 私 ここに居ていろいろ お手伝いをしなくちゃいけないんでしょうが店のほうが空っぽになっちゃいまして近頃のことで 物騒ですから私は 店のほうに居りますがご用がございましたら遠慮なく そう 言って頂いて」。 あ~ どうも 新しい先生ってのは気心が分からねえからないままでの先生だったら 遠慮なくいろんな事が言えるんだけど。

今日は なんですか?こちらのほうへ お仕事で?」。 ええ?いや いや 若旦那 お加減悪いって伺ってたんでねお見舞えに伺わなくちゃならねえと思いながら『貧乏暇なし』ってやつで とうとう今日まで うっちゃり放し。 で どうです? 若旦那」。 じゃあ なんですか?寺だの 葬儀社はもう 人が回りましたか?」。 「何だい? 寺だの 葬儀社…。 いろんな先生に診て頂いたんだがな昨日 来て下さった先生が大変に ご名医と見えてね『こりゃ 何か お胆の中に思ってる事がある。

一遍だけ笑わせてもらいましたがねまた 恋患いたぁ 古風な病気をどこで 背負い込んできました?」。 「二十日ばかし前に 上野の清水様へ お詣りに行きました」。 向が岡湯島の天神 神田の明神ね左のほうを見てくってぇと聖天の森から 待乳山が見えていい所だ ああ。 膝に茶袱紗という物が載っていた。 ええ?『瀬を早み岩にせかるる瀧川の』?ホオ~ッ 都々逸だね?」。 「都々逸じゃない」。 何だな若旦那。

これが 糸が切れたとみえてヒラヒラっと 落ちてきたのを今度は その お嬢さんが拾ってジ~ッと 見ていたが鉄瓶が お嬢さんの顔に見えると大旦那 こういう訳ですよ」。 これは 崇徳院様のお歌でな下の句が『われても末に 逢むとぞ思ふ』」。 もし お前がうまく 捜してきてくれたらねうん お前が住んでる 三軒長屋あれを そっくり あげますよ」。 いや しめたは いいけどね大旦那だって 相手の お嬢さんってぇの名前も分からなきゃ ええ?住んでる所も分からねえ。

そうでなかったら お湯屋へ飛び込むとか 床屋へ入るとかお湯屋も床屋もね空いてる所は いけないんだよ。 「勝手にしやがれ チクショウメ。 あ~ 冗談じゃねえや ええ?毎日 毎日こうやって 表 ほっつき歩いて足は棒みてえになっちまうし お前家 帰りゃ 嬶にポンポン ポンポン 言われるしあ~ 駄目だ こりゃ 下手すると若旦那より 俺のほうが先 逝っちまうかもしれねえや。 アハッ ア~ッ ウ〜ンせ 瀬を… アハッ ウ~ン ウ〜ン瀬をは… 瀬をは…ウムッ あい チクショウ 瀬を…」。

お湯屋へ 18軒 床屋へ 36軒もう 夕方までにはフラフラになっちゃって。 もう 36軒目顔なんざ ヒリヒリしちゃってどこも やる所はないんですよ。 こっちは 出入りなもんだから朝 起きるってぇと『あっちの先生が大層 名医だそうだ』『こっちの薬が効きそうだ』ってんで 朝から晩まで方々 駆けずり回ってさもう 髭 あたってる間も湯へ入ってる間も無えって始末だ。 と お嬢さんの前に 若旦那風のいい男が 腰 掛けてたそうだ。