明治28年 この富士山の頂上で観測を続ければ正確な天気予報が得られる。 野中 到と その妻 千代子である。 いかがですか? 富士山は夏になると 人で大変でしょう?何しろよ 日本中の人が汽車で やって来るもんだからよ。 では観測所の建設は それからですね。 到さんのお仕事のためどうか この千代子を御殿場に やって下さいまし。 観測所を建てようっちゅうこんだよ旦那さんは。 勝又熊吉 西藤鶴吉。 「頂上に 荷物が運ばれると到様が 日付や荷物の量強力の名前などを記帳」。 重要な任務を任されているな千代子は。
とにかく 今は観測所の完成を待たないと。 万歳!野中観測所完成 おめでとうございます。 和田先生 そして 中央気象台の皆さんのご尽力のおかげです。 千代子」。 お父様も お母様もなんて変な顔ば なさっとるの?ばってん 千代子あなた 嫁いで以来初めて帰るとですよ。 あなた到さんに 黙って来たとね?千代子もなかなか やるじゃなかか。 どうします?糸子姉さんは ああ見えて案外 見えっ張りなところがありますから「さすが 千代子これぞ 婦道の鑑」なんて言って賛成するかもしれない。
何ば言いよるとね 千代子!お前は 士族 梅津只圓の娘であり士族 野中 到の妻ですよ!女は 身分相応のなりばしないと人様に笑われます。 あれもでけんこれもでけんて言ったら千代子は登る事ができなくなるたい。 今日も 千代子は 伏せったままか。 けれど まさか 嫁という立場で千代子がそこまで勝手する訳がない。 あれから考えたのですがもし 姉さんが兄さんを手伝いたいと言うならむしろ支援してはどうでしょうか?千代子はね 母親なのよ。 それなのに 千代子ときたら園子を預けて自分も登るだなんて…。