NHK俳句 題「送り火」

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僕 ずっと 自分なりの小説を書いてきたんですけれどもやっぱり2011年の3月11日を区切りに小澤さんと出会えて一番うれしかった事は俳句という 小説から見ると一番対極にあるものを作っている方と知り合えたという事なんですよ。 この句は 僕も かなり引かれるところがありまして小説も俳句も どうしても頭で最初に作ると思うのですがこの方は 本当に体から作っているような気がしたし「わが手で」という時にその手の 勝手にゴツゴツしたり大きかったり何かが見えてくる気がしましてそこが よかったですね。

小澤さんの「遠足バス いつまでも子の出できたる」は日常の中のバスの風景を描いているんだけれどもエンドレスに子どもたちが出てくるというむしろ 彼岸や異界を感じさせるこれが 重なってくるような気がして 不思議だったんです。 なぜ彼岸や異界を感じるんでしょう?俳句って 門外漢から見るとある情景をとどめる静止させるもののような気がするんですけれど小澤さんが詠まれた遠足バスの句には時間が入っていて 出てくる。

さあ ここからは古川さんを交えまして小澤さんのお話伺ってまいりますけれども今日は 特別に?特別に朗読して頂けるので大変楽しみにしています。 作品は 「南無ロックンロール二十一部経」その一節から どうぞ。 その狐は いまは 日の入りだと正確に時刻を把握して都市にとうとう東西南北を与える。 朝と夕方ならばこの都市には東西南北があることを。 東西南北があれば 東北東もありきっと 西南西もあるだろう。