♪~元禄年間江戸は 八丁堀の松屋町に六郎左衛門 これをありがたく お受けを致しますと道場を 甥にあたります中山安兵衛武庸に譲り慎んで 飲んでいたんですけど伯父がそばに いなくなったとなると朝から グビリグビリまるで 稽古をしませんからね伯父さんが 「年を取っていてかわいそうに」といろいろと面倒を見ておりました糊売り おきん婆さんというのが住んでいる 隣が空いたのを幸い月 800文の 汚いボロ長屋に引き移りましたが道場を売って 得た金はたちまち 酒に変わったそれも 無くなったとなるともう ますます 酒が飲み
だけどね 気前のいい旦那だ粋な旦那だよ ね~?そうじゃねえか『わしは 今から 屋敷へ戻る』かなんか言われるとこんなにご馳走になったんだから『どうも 旦那 今日はご馳走さまでございましたありがとう存じました』と 頭を下げなきゃならないよ。 安兵衛両国橋を渡ると 亀沢町へ。 いや 私もね 大先生にはあんなに お世話になったんだご無沙汰ばっかり 帰ったらねよろしく お伝え下さいましよ。
「若先生でございます」。 「何を お前さんばかな事を言ってんだよ?何が 若先生だ?あれ 若先生じゃないよ言うならばばか先生てんだい。 伯父さんから譲られた道場はすぐに どこかに たたき売って得た お金でみんな 酒を飲んじゃって素寒貧 一文無しからっけつだよ。
はい ありがとうじゃあ ごめんなさいはい ごめんなさいよ」と糊屋の おきん婆さん預かりました手紙安さん」。 何? 何?『中山安兵衛殿 菅野』。 何?『君に仕え お覚え めでたくご奉公 罷りあり候ところ』うん『同家中に 村上庄左衛門同じく 庄三郎といえる兄弟の剣士 これあり。 人の評判が良かったらなぜ 共に 喜ばんか『しかるに昨夜 ご家老 長沢将監殿御子息 哲之丞殿元服祝の席上にて硬物試しより 事 起こり…』。 おっ 硬物試し 硬物試し伯父上様の硬物試しは天下一品これに刃向かう奴は愚か者よ。