これが 名人だとねあの 亡くなりました昭和の名人の一人桂 文楽 あの師匠ですとひとつ よろしく お願いします。 私はね 覚悟を決めて…だけど 一人じゃ 心細い。 どうだ? つきあって聴いてくれないか?』って若旦那に そう言ってるでがすよ。 若旦那 私の顔 見ながらね話には聞いているよ謡を始めたって。 若旦那一人で 聴こうてぇ訳じゃごぜえませんで」。 ドドンガ ドドンガ 『かっぽれかっぽれ』なんて」。 「『店へ戻って親父に言うんじゃないよ』と伜が不孝者で お前が不忠者だ。
「じゃあ 正直に話をしなさい。 『頃合い 見計らって迎えに来う』ちゅうんでで 私だけ先ぃ 帰ったでごぜえます」。 正直に 話 しろ」。 じゃあ 1分は若旦那に返したほうがええかね?」。 私 黙ってますがと 旦那様若旦那に この事を言うと…」。 本当の事を言いなさい。 「あの~あの~ 柳橋で」。 「柳橋。 そうか 柳橋か。 じゃあ お前の今 着ている着物を脱ぎなさい」。 若旦那 びっくりする」。 不忠者にならないようにな分かったな?」。 旦那様 本当に 出かけますか?そうですか。 「若旦那。
若旦那 まだ 2階でお遊び 続けますんでそれまでちょっと こちらのほうへ」。 「あ~ 左様ですか。 むさ苦しい 狭い部屋だな~。 ア~ッ 酔った勢いで芸者に教わったな?フフン 自慢気に歌ってやがる。 とんだ 不孝者だ。 いや 部屋 間違えました。 どうなすったの? こんな部屋でまた 妙な身装をして」。 『こらぁ 店 手放すよりしかたあるまい』と思った時にね喜兵衛さんが『間へ入りましょうか?』と言ってくれたんだ。