確かなものが次々崩れていく世界で心に残る音楽を通して2人の人生を見つめていきます。 企業戦士だった父の唯一の趣味は古いピアノでクラシックを弾く事。 その音色が夏木さんの音楽との出会いでした。 ホントは音楽評論家になりたかったって ぼそっと言うような父で全然いいとこじゃないのよ。 それで あんまり音を聞かない少女が たまに聞く音が父の弾いてる その調律の狂ったショパンだのドビュッシーだって感じなの。 音楽に目覚めた少女は将来を決める運命の歌に出会います。
「Taxman」とか「And I Love Her」とか。 中でも夏木さんは切ないボーカルが魅力のアニマルズにハートを射抜かれます。 で アルバイトしてさ。 高校の時 アルバイトして。 グループサウンズブームで 若者たちがエレキギターに熱中した1960年代。 新聞配達でお金をためエレキギターを手に入れます。 アコースティックギターを抱え 怒りや祈りを自分の言葉で伝える。 昨日まで街で歌っていたフォークシンガーが自分の姿 見てカッコよくはないなあって。
オリジナルを出すには 世間に合わせていい悪いを決めてるんではなく自分の発火そのものなんだっていう事がだんだん分かってきて。 幼い頃 歌に救われた少女は本名 中島淳子で 歌手デビューします。 グループサウンズとにかく大好きじゃない。 バンドのフロントで…ほら グループサウンズってバンドだからバンドのフロントで こういう歌を歌う女になりたいって思うんだけど全然 自分のイメージとは違う何て言うのかレコード会社の目に留まりデビューします。
気が付けば またも キャバレー回りへと逆戻りしていました。 一応 まあ ヒット曲があるから「夏木マリ ビッグショー」っていう看板はかかってんだけどホント 歌なんて聴いてないからね。 キャバレー回りが。 ある時 十三のキャバレーで私が 藤田まことさんの前歌をやってたのよ キャバレーで。 スターの場所と私の 十三の歌う場所がこのままキャバレー回りで終わっていいのか。 途方に暮れていた時友人に連れていかれたのは新宿の厚生年金会館。