商売道具いうたかて扇子だけやもんな。 「私は もう慣れん財産が入ったもんでっさかい悪い友達にね これ もう 飲む打つ 買うっちゅうやつですかな気ぃ付いたら 田地田畑も皆 他人の手に 取られてしもて一文無し。 私は 給金以上こき使うのが主義じゃ。 なんぼ 一生懸命 働いても給金以上のもんは みんな自分で 商売せんかい!自分で 商売すりゃ 10両 稼いだら10両は お前の懐やないか。 けど商売の元銭なら 貸してやろう」。 あ~ うれしいな怒られるかなと思たら商売の元銭をス~ッと 貸してくれた。
この竹次郎さん これは なるたけ近所と 顔 合わさんように暗いうちからパ~ッと 飛び起きますと浜へ行って漁師の手伝いを しましてなそれから 手間賃をもろてそれで しじみを仕入れて「あ~さり しじみ〜」しじみ屋になった。 一生懸命 働いておりますとええ人紹介させてもらおやないか」。 夫婦揃って一生懸命に 働きます。 10年 経つか経たんうちに天満は今井町という所に間口が6間半蔵前が 三戸前もあろうかという大きな質屋のご主人となりました。
さあ~さぁ 座布団 敷け 座布団。 ええほうの座布団 持ってこいええほうの。 まだ 座布団温もってないやないかい。 見習い 丁稚 番頭 手代 な~。 やっと ここの主人に気に入られてここの店を引き受けたようになったけど一生懸命 稼いだ銭や。 お前が 表へ出て見てその3文 見た時『チクショウ~覚えてけつかれ〜っ』。 天満は今井町に 間口が6間半蔵前が三戸前もあろうという大きな質屋が出来たぞ~』。 では 失礼致します」。 でも ちょっと 今日風が きついので 火の用心…」。
ヒョイッと 見ますと真っ赤に燃えさかるその火の粉の中にクッキリと 浮かんだ自分の蔵が三戸前」。 「あっ 旦那様 お帰んなさいませ。 もらい火でございまして家の蔵 持ちこたえております大丈夫です」。 トントントント〜ンと 上へ上がりまして鳶口でもって 瓦を2~3枚 ヒョイッと めくるとガラガラガラガラガラガラガラガラ ド~ン!「2つの蔵は しかたがない。 病は気からじゃ 安心しとけ大丈夫じゃ。 中船場の前行ったり 来たりしてると。