それは一人息子の留治郎というのが道楽一つ するでなしお店大事と 一生懸命に 働いてくれるからでもございました。 留治郎を ここへ呼びなさい」。 「あ~ 留治郎。 そこのね 手文庫にね30両 あるだろ? これを明日 胴巻きに入れといてやんな。 芸者衆が お引きずりをしながら入って参りまして「お一つ いかが?」なんて差してくれるんですけれども留治郎 こんな所 とにかく初めてなもんですから…。
紅梅という花魁が俺の馴染みでね紅梅の 紅というのはね紅って書くんだよ」。 「そう?じゃあね ひな鶴花魁はここで コチンコチンになってるこの 初めての留治郎さんに持つ事にしてさぁ さぁ どうぞお上がり下さいまし。 もう 大変なんでございますよ紅梅花魁がお前さんに会えない会えないってねこの間から 『寂しい 寂しい』と仰ったんでございますよ。 お引きずりの芸者衆も やって参りましてチャラ スチャラカ スチャラカ チャンチャンワア~ッ ワア〜ッという大騒ぎ。
実は お金を 他の お客様から何やかやの理由をつけまして飯岡助五郎の子分といいますから「もぐら」なんていう名前が付いてるぐらいで大した兄ぃさんじゃございませんけれども博打の腕前は大したものでございまして時々 大儲けしては腹を ポンポン 叩きながらお~い。 「まあ~ まあ〜 まあ〜 もぐらの新助親分じゃございませんか。 もう ひな鶴花魁がね親分の顔が見えないからって もう泣いてらっしゃったんでございますよ」。
これを持って ひな鶴花魁は下に下りて参ります。 どんどん 食べてガブガブ 飲んでちょうだいよ。 「さぁ お三味線を弾きましょう」。 チャラ スチャラカ スチャラカ チャンチャン。 お三味線なんぞをおっ放り出しますと…。 あっちを突っつきこっちを突っつきガブガブ 飲んでムシャムシャ 食べてガブガブ ムシャムシャガブガブ ムシャムシャ。 さぁ 三味線 弾きましょうよ歌いましょうよ」。 三味線 おっ放って。 ガブガブ ムシャムシャ ガブガブ ムシャムシャガブガブ ムシャムシャ。