生徒さんは五目の師匠なんというんでいろんなものを どんどんどんどん 教えてしまうというような師匠が町内に 必ず いる。 これは 今 お世辞を言う事をお上手と言ってそういう言葉がありますけれどもあれは みんな 町場のいわゆる そういう師匠のその言葉が起源じゃないかなと。 いわゆる 稽古の合間に炬燵櫓かなんか ね? あってそこにはこう 上に ミカンがあったりミカンがあったり…。 で お師匠さんもね稽古の合間でございますから一緒に座ったりなんかするってぇと助平な奴がいるんだ 必ずね。
だから そういうような奴はこういう炬燵櫓なんぞに入るってぇと もう 師匠の手を握ろうなんていうんでねどれどれ 柔らかい手だね」。 「おっ そうなの?何だい こうと知ってりゃ早くにな~口説いときゃよかったぃチクショーメ 本当に 全く。 いいんだよ 師匠は今 俺の手を握っている事が一番 いいんだから 本当に。 板塀に 節穴があいてるからこいつはいいやってんで覗いてみたら よろしく やってるなんてぇもんじゃないよ ええ?師匠がね 兄ぃのほうへしなだれかかって こうやって『お一つ』なんてな事やってんだい。
でも なんだよ これからねもめるってぇとワ~ッ 皿を投げる ガッチャ〜ン。 茶碗を ピュ〜ッ ガッチャ〜ン」。 「家ね 瀬戸物屋だから」。 それなんだけどもさ~仕立て屋に行ったらね今 何だか知らないけれども『婚礼の物にかかりっきりだからそっちでやっておくんなさいよ』って突っ返されちまったんだよ本当に 冗談じゃない。 また それも それもね夜夜中じゃないよ真っ昼間 真っ昼間全く まあ~ お師匠さんがね兄ぃのほうへ こうしなだれかかってさ~『お一つ』なんてな事をやってんだ 冗談じゃないよね」。
この間もな 髪結い床 行ったんだそうしたら あそこの親父が『近頃 随分腕を上げたそうでござんすね。 パッと つかんでギュ~ッと 引っ張って耳の所を ポ~ン 触るってぇとピクピク〜ッ。 途端に 「ピクピクだ~」ってぇと常吉が 裏から ド~ンと 入って。 お前は 一体 何者だい?どこの化け物だい?吉野屋の常吉 義経が調べる。 「常吉様の姿を借りよんどころなく頃は 人皇六十二代村上天皇の御代に高位の御方の お傍に侍りし女猫の生き皮にて製したる三味線を弾けば 鼠は立ち去るとの事。