えっ？ お母さん？まあ 分からなくは ないですよね？奈緒子さん。 もう 奈緒子さんも 大女将も こんなときにもめてる場合や ありません。 お母さま？ 誰の？瑠璃子お嬢さまの お母さまが 今 玄関の方に。 えっ？えっ？えっ？ここに？来た！あの方が瑠璃子さんの お姑さん？その お姑さんが どうして いきなり ここへ？あいやぁ。 俺が 来てからでも ここの ご長男で奈緒子さんの 夫でもある 宗佑さんの失踪。 ほの間にも 大女将と奈緒子さんの 嫁と姑による 小競り合いが幾度となく 起こっております。
わざわざ 東京から 来られるなんてどういった ご用件ですか？今 何本も 雑誌の締め切りを 抱えてるの。 ほうでしょうけどまずは 奈緒子さんが 偵察に 行かれた方が。 とっくに 締め切りは 過ぎてんのよ？えっ？ そりゃ 担当者の あなたの責任でしょ？だから 何が何でも あした中に 印刷所に 回してちょうだい。 熟年世代の生き方を 取り上げた 今 評判の雑誌ですよね。 それが 今じゃ ウケて うちの社の 看板雑誌よ。 この 熟年世代の購買層を新たに 切り開かれたんですね。
ほんでも 他人の嫁にまで ほう言うくらいですから実の嫁である 瑠璃子お嬢さまには いったい どんなことを。 神楽家の嫁姑が 最近 落ち着いてると思ったら今度は 瑠璃子さんの 嫁姑なんてねぇ。 どんな感じの方なんですか？ 瑠璃子さんの お姑さんって。 あんな人が お姑さんだなんて瑠璃子さんも かわいそうに。 老人向けも 駄目じゃこれから先の時代 かぐらやという 老舗旅館の名前だけでどうやって 生き残っていくのかしら？まったく。