えっ？ 工藤さま？勝手は 知ってます。 こちらが 工藤さまの お部屋でございます。 この部屋に 高い座椅子 ないんか？あっ はい。 この部屋からは 本当に 浅野川が よく見下ろせるんですよ。 奈緒子さんと一緒にお世話をさせていただきます 神楽 幸です。 そんな ひよっこに 世話できるのか？私は 志乃ちゃんの孫やからいうて 手加減しませんさかい。 工藤さまが お風呂に お入りになってる間にもう一度 お部屋の方 お掃除しておきます。 えっ？うちとこやったら もっと いい部屋用意しましたんにって 言うてました。
それより 世話してくれる人やけど奈緒子さんやのうて 幸ちゃんだけで いいわ。 でも 幸は まだ 女将修業 始めたばっかりでして…。 嫁に 世話してもらってると 思うたら旅館に来ても のんびりしてられませんさかい。 嫁姑？長男夫婦と 同居しとるさかいね。 ほれで 同じ嫁である奈緒子さんに お世話は してほしいないと。 ホント どこにでも あるのね 嫁姑は。 きっと 翔太君だ。 大丈夫？すいません。 翔太君？試験の方 どうだった？何とか 大丈夫じゃないかなって。 早稲田の試験 手応え あったみたいです。
大丈夫や。 ことしこそは 絶対 大丈夫です。 翔太も 頑張ってるけど 幸も 今日は 頑張ったね。 さすが 大女将の孫。 ほんときは みんな それぞれに新しく こさえた 糸手まりを持ってほれを 一日中 ついて遊ぶんや。 ♪「一羽の雀は お嫁入りなさる」♪「二羽の雀は 見物なさる」♪「三羽の雀は 男に とられて 仲良く ちょいと隠す」って。 大女将から 聞きました。 大女将も 懐かしそうに 口ずさんでました。 大女将 その当時の手まりがまだ 蔵にあるはずだと おっしゃって。