江戸の外れで発見された死体は江戸でも有数の薬種問屋丹波屋の女房おみねである事が確認された被害者を悪くは言いたくないが聞けば聞くほどどうしようもない女だな。 しかも大助にとっては安心できる相手…つまり男ではなかった?そうなんです!香織はどうしてその女と?詳しい事は聞いてないのですが…。 お奉行実はこの岡村が昨日香織殿と一緒にいた女の事でいささか気になる事を思い出しまして。 しかも先日殺害された丹波屋の内儀おみねの娘と間違えられて。
知り合いの町方から十年前大店の娘と間違えられて勾引かされ無残に殺された女の子の話を聞いたんだが…。 その子は小間物の行商をしている母親に女手ひとつで育てられていたとも…。 その日の夜丹波屋さんに「娘の命を助けたければお嬢さんを見ていると私…なんだか娘が戻ってきたみたいな気がして…。 お父上はおふじさんの何かを疑ってるの?丹波屋のおみねと懇ろになって小遣い銭を稼いでいた遊び人の弥助です。
殺害された十年前の経緯に恨みを抱きおみねを殺害したと自白しているがそれに相違ないか?相違ございません。 ですからあっしもたぶんあの野郎が勾引かしの下手人だったんじゃねえかと。 あっしの正体…!?十年前の勾引かしの下手人が…その方だと。 勾引かしの下手人しか知らぬ成り行きをおふじの耳に入れおふじの手でおみねの息の根を止めさせようと目論んだものの思惑が外れその方が直に手を下したのだ。 どこに…どこにそんな証拠が!?十年前三百両の儲け話があるとその方から持ちかけられた当時の遊び人仲間が証言している。