このころ柳生烈堂は幕藩体制維持の名目で各地に密偵を放ち諸藩の動向を探らせていた飯田藩の内情を記した書面受け取りに参った。 お言葉ですがこの程度のことでわずか一万五千石の何者だ刺客拝一刀。 『草』として生まれ『草』として生きるさだめに自分の手でケリをつける日が来るのを…!…丹後半島袖志の集落に死ぬときには共にと固く二世を誓った妻が…。 子連れ狼子連れ狼が秋山慎之助たち3人を斬ったのは信州分去れの近く。
慎之介様と約束したんです!どちらかが死ぬときは必ず後を追うと…!私の夫は慎之介様ただ1人です!他の男に抱かれる気はありません!何ですって子供がむずかったんであやしに出ただけで別に逃げるつもりはなかったみたいなんです。 お前たち袖志の女は柳生忍『草』の血筋を絶やさぬためのいわば道具だ!契りを交わした夫とは夫婦であっても夫婦ではない。 あなたの言うとおり『草』の子を産むだけの道具として生きるよりたとえあの世だろうと思う人と添い遂げたほうがどれだけ幸せか…!お汐さん…!柳生忍差配九十九源蔵だ。