先生！小林先生！大至急手術室に来てください！手術中に？うん手術ミスじゃないかってもっぱらの噂だ。 はいもしもし？帝都新聞の奥寺さんでしょうか？はいそうですが？私武蔵野青木外科医院で勤務医をしている小林と申します。 どうしてその場で事故があった事を届け出なかったんですか？今となっては死因が明らかに手術ミスによるものかどうかその因果関係を立証する事は不可能ですよ？そんな人に追いうちかけるようなマネできると思いますか？もしも…あなたにそういうお気持ちがあるのならばさんざん迷った末の決断なんです。
院長先生は医師不適格者なんです。 武蔵野青木外科医院は平成２年の開業ですか…。 １件目がえーと…都内の聖山医科大学総合病院でしょ。 で裁判沙汰のあと神奈川の育英会中央病院に移ってますね。 はい？君がもし患者だとしたら院長先生に手術を頼みますか？多少の腕の悪さには目をつぶったんでしょうか？だとすると…。 やっぱりアレですかね？その辺りは親子関係…息子だということで手術を頼んだんですかね？その点については看護師たちは何も言ってませんでしたか？とおっしゃいますと？実はあのオペ私が執刀するはずでした。
しかしその前にいくつかご確認したいことがありましてならなければ院長先生のお父さん青木征十郎さんは決して偶然の悲劇などではない…という可能性が出てきます。 はい？お話を伺ってるとまるで院長先生がお父さんをわざと…。 言えるわけないでしょ？お父さんが亡くなったんですよ！だからこそ…！院長先生が殺したんですか？それだけのことで事故ではなく殺人だと断言できるんですか？…いえ。 私がはっきり断言できることは院長先生が手術中にミスを犯したことそれだけです。 コーヒーはどなたが頼んだのですか？もちろん院長先生です。
怪しいコーヒーを飲んだのはおそらく院長先生だと思いますよ。 駆けつけて応急処置してくれたよね？君の腕を持ってしても助けられなかったんだ？全力を尽くしましたが力及ばず残念な結果になってしまって…申し訳なく思ってます。 しかしそれは院長先生のほうにだけ。 つまりめまいは手術を途中で放棄して院長先生に代わっていただくためのお芝居。 お兄さん…！でもどうして？あなた方が調べていたのは院長先生のはずじゃ…。 先生は手術前の水分を控えていたのではありませんか？手術中に用を足したくなったりすると厄介ですからねえ。