おい!ん?人だ…!なにどうしたなに難破しただと?はい船頭以下船乗り十二名はいずれも行き方知れずとか…。 田沢殿難破した船の積み荷は確か上野寛永寺修復のためのヒノキだったな。 まあまあ…すべては天災の招きしことゆえ責める気はござらぬがさて…代わりとなる材木は手に入りそうなのか?積み荷の心配よりも船に乗っていた船頭以下十二名の安否を確かめるのが先であろう。 でも奥方様のようにきれいな着物を着て時間があればお琴を弾いたりなさるんでしょう?うらやましい!町の人はどう?さぞ自由気ままに生きてるんでしょうね。
海神丸の船頭は確か栄五郎の幼なじみだったな…。 その船頭死ぬ間際に「船は難破したのではない」と言い残して…。 頭!何なんですかあのお上品なお方…!まさかコレそうだと思ってたんです頭は絶対年上好み…!バカ野郎そんなんじゃねえよ。 噂の主は天女様か?おばちゃんこのキラキラの欲しい!あっ…新さん。 ああ徳田新之助だ。 俺は旗本の三男坊徳田新之助だ。 まことにもって見上げた心がけ…されど六代将軍のそう倹約を訴えるなら上様自らが手本をお示しになるのが筋。 あの侍田沢家の用人南十三郎という者でした。
大体将軍吉宗様には江戸から遠く離れた小さな藩に対する目配りというものがまったくありません。 徳田様びっくりさせないでよお屋敷の方かと思った…。 あ~武家奉公はもうこりごり!帯はきついし大口開けてううんいいの。 上様遺体の腑分けが終わったようです。 一体誰がそのようなことを…!上様もうひとつ気になることが…。 早朝丸子屋の材木置き場に大量のヒノキが運び込まれました。 何と…!天災となれば各藩から寄進も集まりその上でヒノキをさばけば懐にその代金が入るというわけだ。 作事奉行田沢備後守。