黒:日本刺しゅうの、まあ主婦では、いらっしゃったんですけど、40年間、ずっと、ご研究をなさいまして、作品を、たくさん、お続けになっていらっしゃる草乃しずかさん、今日のお客様です。 染め友禅のところに、とにかく、この古い着物、よみがえらせて、もっともっと、更に輝くようにっていう風に。 でも、考えてみたら、こういう着物、よくありますけど、自分で、もし、刺しゅうが出来たらね。 これも古いお着物で、やっぱり昭和の初期ぐらいのだと思うんですけれども。
草:疋田絞りっていう…。 黒:疋田絞り?今、出来ないんですってね。 その疋田絞りが難しくてね、なんか。 それを、こういう風に、疋田絞りのように…。 それを刺しゅうで、疋田絞りのように見せてるわけです。 一番最初に、おいでくださいました時には、お父様のお着物。 やっぱり父の着物って大好きなものですから、それを、私が、なんとか着る方法はないかと思いまして。 お父様の、そういった紬の、なんの模様もない男の人のお着物に、ちょっと、こういう風に、刺しゅうを、お入れになった事によって、よそ行きにもなるって。
で、今日は新しい作品、たくさんお持ちいただいたんで、あの四角っぽいのは源氏香っていうのですよね?黒:これ、紫の上っていう事ですよね。 花散里とかね、いろんな『源氏物語』に、いろんな女性が出てきますけど、私のイメージでね。 全部、広げちゃったら大変ですものね、大きくて。 で、今日、作品たくさん見せていただくので、お持ちいただきました。 今、日本がいろいろ大変なので、その日本という桜が、草:強さを表現したかったので。 草:全部変えてね。
黒:でも、こうやって見ると、着物って、本当に、なんとも優雅なものですよね。 本当に、こうやって拝見すると、なんか洋服着て、バサバサしてる人間とは思えないような…。 黒:上から2段目のやつは、宝尽くしっていうんですかしら?これの上の方ですけども。 草:そのためにっていうか、軽く見せるために、アップリケです。 このアップリケの方が、ちょっと軽いって…。 黒:亀って、こんな風にヒラヒラしたものが付いてたんですね、昔はね。 亀もヒラヒラさせて、お祝いだ、お祝いだって。
黒:さっきからひと針、ひと針という風に、刺しゅうするのにって、お話伺ってますけど、ちょっと実際にやってらっしゃるところを、VTRに撮りましたので、刺しゅうしてらっしゃる草:段階が描いてありますね。 ちょっと…、これはもう、本当にキレイな、藤?草:ええ、「夢浮橋」といって『源氏物語』の最後のところなんですけれども。 草:紫式部は『源氏』で何を語ってるかっていうと、女性の生き方を語ってるような気がするんですけど、それから自立した女性を分けて、夢浮橋、藤に見立ててますけれども。 黒:夢浮橋を藤に見立てて。
黒:日本刺しゅうの草乃しずかさんに今日はおいでいただいて、いろいろ、作品見せていただくんですけど。 今までね、私が刺しゅう始めたきっかけっていうのは、たんすにあったものを、父の紬、着たりとか、もう、あと、人生考えたら、もう最後かなというチャンスなので、自分の着物作ろうと思って、今度、作ったんです。 黒:可愛い!草:私、やっぱり、少女みたいな気持ちは大事なんですよね。 地紋がね、本当、日本の生地っていうのは、地紋が素敵なんですよね。