「岩村藩一万五千石藩主は内藤志摩守直正」…。 内藤直正が?上様お成~!突然ご対面の栄誉を賜り内藤志摩守直正…か…感激の極みにござりまする…!はっ…はい!江戸屋敷の方はどうじゃ?上様よりお預かりいたしました領国同様質素倹約を旨とし…藩士一同誠実に私めに忠勤を…。 江戸家老・原田刑部は美濃姫の輿入れに伴い前田家より藩邸に入った男です。 藩邸内では昔からの譜代の家臣と奥方とともに加賀藩から来た者が真っ二つに割れていると見えるな。
殿方しだいで女は変わるんですよ!姉貴どうやってそのいばってる女…つまり内藤様の奥方様をしとやかな女にするんだよ。 つまり私のようにってことでしょ?そうなったらおしまいだよ!何だよその言い方は…!おさえてくださいよお二方とも!あっしの経験ですと男女に身分なしナマほざいたら一発ほっぺをひっぱたけば言うことききやす。 今一番の諍いのもとは何ですか?嫡男・吉太郎の育て方です。 私は岩村内藤家の四番目の息子でした。 岩村藩一万五千石の藩主の座が私に…。
吉太郎上様にご挨拶を…。 日本随一の大藩に才色兼備に生まれ育ったその方にとっては田舎育ちの無骨者の直正にはいろいろと不満もあろう。 本物だってこと忘れちゃ困りますよ!何上様は偽者だと拙者も腰が抜けるかと思いました!我ら加賀一派を押さえ込むため殿と脇坂が仕組んだ狂言かと…。 あのお方のご指示を仰ごう!この一件は必ず使えるぞ…!はっ単刀直入に申せば藩主・直正に藩を治める統治能力はまったくございません。 はい本多殿の領国は信濃福山藩五万石…せめて十万石ぐらいの国をと内々に…。