何じゃと…その人物とは？上様は四年前の御前試合を覚えておられましょうか…？うむ…確か優勝者は水戸藩の大石小次郎と申すいえその御前試合にて決勝で大石に破れた者をご記憶ございませぬか？上州安中藩で馬廻り役を勤める柳瀬源吾と申す者…。
上州安中藩における柳瀬源吾の一件ははっ調べましたところ今の江戸家老・山形陣内にございます。 上州安中藩の名門…代々家老職を勤める山形家…。 そのことならすべて父上に任せてある！藩籍がなければ今度の御前試合には出場がかないません！武士の魂である脇差すら竹光に代えて耐え忍んだ拙者の四年はすべてこのときのため…！おう来たか来たか！入れ入れ！山形様お待たせいたしました。 四年前の江戸城における御前試合覚えておいでだろうか。
そんな…いくら理屈をつけようと辻斬りは辻斬りでございます！あまりあこぎに「勘定勘定」と言っておるとそのうちお前も狙われるぞ！滅相もない…！そう暗い顔をするな源吾！悪徳商人や高利貸しを天に代わり成敗してやっておるのだ。 山形親子はそれをエサに柳瀬源吾を利用しつくすつもりか。 しっかり！美鈴…！寝てなければだめではないか！いいえ今日は父上の帰参がかなう大事な日。 美鈴…！父上のこの四年の苦労を他の誰は知らずとも美鈴はわかっています…！お前の苦労もな…。